2011年03月31日

あなたの富のあるところ

2010年12月25日、クリスマスの朝、群馬県児童相談所の玄関に10個のランドセルがプレゼントとして置かれているのを、職員が発見しました。贈り主は、30年前のマンガ『タイガーマスク』の主人公「伊達直人」を名乗っていました。その報道が話題になるや、摸倣が瞬く間に広がり、全国の児童養護施設に、様々なプレゼントが置かれるようになりました。今や「タイガーマスク運動」と呼ばれています。

「伊達直人」という名乗りの仕方が、多くの人々の胸の奥にヒットしたのだと思います。『肝っ王かあさん』の京塚昌子も登場しましたが、プレゼントの届け主の名前には、圧倒的にマンガやアニメの主人公が多かったのです。少し挙げてみましょう。

矢吹丈(『あしたのジョー』)、ドラえもん、アンパンマン、ウルトラの父(『ウルトラマン』シリーズ)、星飛雄馬(『巨人の星』)、あさりちゃん、島村ジョー(『サイボーグ009』)、ルパン三世、麻宮サキ(『スケバン刑事』)、綾波レイ(『新世紀エヴァンゲリオン』)、野原しんのすけ(『クレヨンしんちゃん』)、ムスカ(『天空の城ラピュタ』)、涼宮ハルヒ、不動遊星(『遊戯王5D's』)、スティッチ、仮面ライダー、みなしごハッチ、デビルマン、愛の戦士レインボーマン、ちびまる子、大神一郎(『サクラ大戦』シリーズ)、平沢唯(『けいおん!』)……。

あたかも「コミケ」(コミックマーケット)のコスプレ大会の様相を呈しています。これらの新旧キヤラが勢揃いしている様子を想像すると、壮観ですらあります。そして、60〜20歳代の幅広い「マンガ・アニメ世代」が、一斉に集結したかのような印象があるのです。

その顔ぶれを丁寧に眺めると、貧困のモチーフ(『巨人の星』『レインボーマン』)、孤児と非行少年のモチーフ(『あしたのジョー』『サイボーグ009』『みなしごハッチ』『スケバン刑事』)、児童虐待(ネグレクト)のモチーフ(『エヴァンゲリオン』)も垣間見えたりします。「涼宮ハルヒ」の精神不安定ぶりも気になるところです。

それはともかく、「伊達直人」登場の第一報に接した瞬間、自動的に『タイガーマスク』のエンディングテーマ『みなし児のバラード』(作詞・木谷梨男、作曲・菊池俊輔作曲、歌・新田洋)が、私の頭の中で鳴り始めたのでした。それも映像を伴って、繰り返し……。それは突然に、まるでテレビのスイッチが入ったという感じでした。

「あたたかい人の情も/胸をうつ熱い涙も/知らないで育った/僕はみなし児さ/強ければそれでいいんだ/力さえあればいいんだ/ひねくれて星をにらんだ僕なのさ/ああ、だけど、そんな僕でも/あの子らは慕ってくれる/それだから、みんなの幸せ祈るのさ」。

この歌を披露すると、二男が教えてくれました。「『遊戯王』の不動遊星もみなし児。『スティッチ』のリロもみなし児。「NARUTO」もみなし児だよ。『ゲゲゲの鬼太郎』も母さんは死んじやったんだよ。」すると、なぜか「あなたの富のあるところに、あなたの心もある」(マタイ福音書6章21節)という聖句が、私の頭に浮かんだのでした。

【会報「行人坂」No.242 2011年3月27日発行より】

posted by 行人坂教会 at 09:34 | ┣会報巻頭言など