2013年06月10日

人はどこへ行くのか【ヨブ記14:1〜10】

聖句「だが、人間は死んで横たわる。息絶えれば、人はどこに行ってしまうのか。」(14:10)

1.《豚はどこへ》 九州教区総会の会場である福岡までは、隣町の教会の牧師と交替で、自動車を運転して、7時間もかかります。追い越し禁止車線の続く山道、豚を乗せたトラックが前を塞いでします。それを笑っていると、トラックが右折しました。その刹那、断末魔のように、豚が一斉にいななきました。そこは「なんちく」というハム工場への曲がり角だったのです。

2.《牛はどこへ》 宗教学者の中沢新一は29歳の時、チベットに行き、ラマ僧のもとで修行をしました。ラマ僧は彼を屠殺場に連れて行き、1日中マントラ(お経)を唱えるように命じます。牛がロープで引っ張って来られ、屠殺人がハンマーを振り下ろします。すぐさま腹を裂いて内臓を取り出します。一面が血の海です。やがて、牛と一緒に悲鳴を上げている自分に気付きました。ラマ僧は「牛はお前だ。お前は牛に成った。自身の心に近付けたら良いのだ」と言いました。

3.《猿はどこへ》 中国南北朝時代(宋)に編纂された『世説新語』にある物語です。都で貴族のペットにでもするのでしょう。子猿が捕らえられて、商人に売り飛ばされ、黄河を下る舟で運ばれて行きます。母猿は子猿の泣き声だけを頼りに、川沿いの断崖を追いかけます。やがて港に着いた時、母猿は子猿の入れられた籠に手を掛けて息絶えました。即ち、その腸は裂けていました。これを「断腸の愛」と人々は呼びました。動物にも植物にも魚貝にも命があります。命があるものには心があります。私たちは命と心を失ってはなりません。

朝日研一朗牧師

posted by 行人坂教会 at 16:29 | 毎週の講壇から