聖句「況して、あなたがたの天の父は、求める者に良い物をくださるに違いない。」(7:11)
1.《魚か蛇か》 まさか、この日本で、自分の子供に蛇を食べさせている親はいないと思います。ところが、案外「蛇を食べさせていたかも」と気付きました。それは回転寿司のネタの表示です。アナゴ寿司はマルアナゴで「ウミヘビ科」だったのです。回転寿司屋のスズキはナイルパーチ、カンパチはスギ、ヒラメはオヒョウ、タイはアメリカナマズかティラピアだったのです。
2.《良い賜物》 現代は、親が子に「良かれ」と思って与えている物が、その実、良くない物、偽りの物だったりする時代です。イエスさまの仰る「良い物」は「贈り物、賜物」です。「良い/アガトス」は「内面の卓越性」を意味します。「人々が、あなたがたの良い行ないを見て」と言われていた「カロス」(チャーミングの語源)とは少し違います。「アガトス」は見た目ではないのです。「有益な、幸福な、慈悲深い」という含みもあります。私たちを幸福にしてくれるのは、物それ自体の価値ではなく、与えてくれた人との繋がりにあるのです。
3.《愛する道》 来年のテレビ小説の原作『アンのゆりかご』は、『赤毛のアン』の翻訳者、村岡花子の伝記です。彼女が5歳の独り息子、道雄を疫痢に奪われる場面が悲痛です。彼女は「奪うなら、どうして与えたのだ」と神を呪ったと言います。ある日、そんな花子の心の奥底から「神はその独り子を賜う程に世を愛し給えり」の聖句が聴こえて来たのです。子を亡くす悲痛な体験の中から、彼女は「世にある人の子たちのために、道を照らそう」と、児童文学の翻訳に取り組んで行くのでした。確かに、失って初めて「幸福な賜物」に気付くことがあります。そこで、私たちはイエスの十字架に出会うのです。
朝日研一朗牧師