2013年11月25日

石のパン【マタイ7:9〜10】

聖句「あなたがたの誰が、パンを欲しがる自分の子供に、石を与えるだろうか。魚を欲しがるのに、蛇を与えるだろうか。」(7:9,10)

1.《チェルノブイリ》 1986年4月26日、ウクライナ共和国のチェルノブイリ原発4号炉が核暴走の末、爆発し、放射性核分裂生成物、所謂「死の灰」が外に噴き出しました。広島の原爆5百発分に当たると言われています。原発から30キロ範囲の住民に避難命令が出され、そこは「立入禁止地区」、人の住まないゴーストタウンになってしまったのでした。

2.《南瓜のお婆さん》 原発の建屋はコンクリートで固められ、「石棺」と呼ばれています。事故から数年後には、大勢の子供が甲状腺癌や急性白血病を発症するようになりました。慶応大学の藤田祐幸さんは現地の汚染調査に入った時、住民たちが「立入禁止地区」に戻って生活をしているのを見て愕然としました。あるお婆さんは大きなカボチャを見せて、「放射能なんて心配ない」と笑いました。藤田さんは「何て無知な、愚かな婆さんか」と呆れたそうです。

3.《親が毒を与える》 村での調査を終えた時、藤田さんはお婆さんに再会しました。今度は浮かない顔をしています。聞けば「キューバに疎開している孫娘が夏休みで帰って来る」と言います。「良かったじゃないか」と答えた藤田さんに、お婆さんは掴み掛かりました。「あんた、科学者なんだろ。この土地がどんなに汚染されているか知っているだろう!」。藤田さんは「人間の心」が分かっていなかったと思い知らされたと言います。事故直後、日本の母親の母乳からも放射能が検出されました。甘蔗珠恵子さんは「かつて三度の食事に毒を混ぜて食べさせる母親がいただろうか。今の世の母親は殆ど知らずに、知っていてもどうすることも出来ずに」していると悲鳴のような言葉を綴っています。「毒を食らわば皿まで」と言いますが、子や孫にも同じことが言えるでしょうか。

朝日研一朗牧師

posted by 行人坂教会 at 17:11 | 毎週の講壇から