2015年09月07日

天国の鍵【マタイ16:13〜20】

聖句「わたしはあなたに天の国の鍵を授ける。あなたが地上で繋ぐことは、天上でも繋がれる。あなたが地上で解くことは、天上でも解かれる。」(16:19)

1.《密室トリック》 「鍵のかかった部屋/Locked Room」を「密室」と訳したのは江戸川乱歩だそうです。ポーの『モルグ街の殺人』が密室殺人トリックの最初とされています。日本では、戦後の横溝正史『本陣殺人事件』を待たなければなりませんでした。因みに、密室のトリックを推理力で破る話は、旧約聖書続編「ダニエル書補遺:ベルと竜」(紀元前2世紀末)にあります。何と、世界最古の密室アリバイ崩しの推理は、聖書にあり、探偵役は預言者ダニエルだったのです。 

2.《鍵のない生活》 私たちは外出の際、ドアロックが習慣になっています。しかし、子どもの頃には家に鍵など掛けたことはありませんでした。部屋の鍵、玄関の鍵、自動車の鍵、PCの鍵、机の鍵、鞄の鍵、私たちは実に沢山の鍵に囲まれて暮らしています。一体、誰のための、何のための物だったのでしょう。私の知人はケベック州の古い宿屋に泊った時、鍵のない生活に触れて驚くと共に、自分自身も大らかな、ゆったりした気分になったと言います。

3.《繋ぎ合う教会》 現代は「個の時代」と言われます。確かに各人は固有の人生を授けられた尊い命です。しかし同時に、個の尊重が極端な孤立を招いているのも事実です。互いに閉め出し合うようになり、世界と他者への信頼を喪失しているのです。家に鍵をかけて潜伏していた弟子たちの所に、復活の主が入って来て、聖霊を授けます。主に「赦された者」として生きる時、他の人を赦すことも出来るのです。ペトロに授けられた「天国の鍵」も、「罪を赦す権威」「教会の外に救いなし」という、罪人を締め出す鍵ではありません。私たちがお互いに心を開き、繋ぎ直すための契機なのです。イエスさまの御言葉(聖霊)が、私たちに不安と恐れを超えて、他者と生きる者へと促しているのです。

朝日研一朗牧師

posted by 行人坂教会 at 18:49 | 毎週の講壇から