2016年10月03日

天使のパン【詩編78:23〜29】

聖句「神は天からの穀物をお与えになり、人は力ある方のパンを食べた。神は食べ飽きるほどの糧を送られた。」(78:24,25)

1.《パン屋》 店名や製品に「天使のパン」と銘打ったパン屋があります。北鎌倉には、1日平均3個のパンを製造する、元競輪選手夫妻の営むパン屋があります。試合中の転落事故で脳と身体に麻痺を負う店主が焼くパンは「天使のパン」の味わいだそうです。宇治市には今時、調理パンが全品「百円」のパン屋が、熊本市では天然酵母のパン屋が「天使のパン」を謳っています。

2.《御聖体》 「天使のパン」という語は「詩編」78編25節「人は天使たちのパンを食べた」から来ています。出エジプトの際、イスラエルに主が与えられた天の糧「マナ」を言っているのですが、原文が複数形で「力ある者たち」だったので、古来より「天使たち」と訳されて来たのです。勿論、今では、唯一の神の力強さを表現するために複数形に成っているというのが定説です。しかし、中世の「天使博士」トマス・アクィナスは「聖体祝日」のために、聖歌「天使のパン」を作詞しました。フランクの名曲「天使の糧」も有名です。

3.《聖餐式》 中世の聖女、シエナのカタリナは聖体以外の物を口にせず、33歳の若さで世を去りました。天使の糧を味わうために、世俗の糧を拒んだ結果でした。プロテスタントの聖餐は違います。H牧師の実家はパン屋で、そのパンが聖餐式に使われていたそうです。しかし、自分の家で焼いたパンなのに、未受洗の自分は与ることが出来ず、不思議な気持ちがした…という思い出の記を読みました。受洗後に聖餐に与った彼女は「単に空腹を満たす物ではなく、味わって食べる者の魂を満たすキリストという名のパンでした」と言います。十字架の上で引き裂かれた主を仰ぎながら、聖餐に与ることによって、私たち自身も「引き裂かれたパン」として、この世に遣わされて行くのです。

朝日研一朗牧師

posted by 行人坂教会 at 18:51 | 毎週の講壇から