2019年03月18日

苦悩の谷から希望の門へ【ホセア2:16〜17】

聖句「わたしはぶどう園を与え、アコル(苦悩)の谷を希望の門として与える。そこで、彼女はわたしにこたえる。」(2:17)

1.《トルストイ》 帝政ロシア時代の文豪、レフ・トルストイはキリスト教信仰篤い作家として知られていますが、ロシア正教会からは破門されています。ロシア正教会が皇帝や支配階級と癒着して、貧しい民衆を圧迫していることを批判したからです。更にトルストイは、ドゥホボール教徒(プロテスタントにも似た分離派)を支援するために『復活』の印税を全て使ってさえいるのです。

2.《イワンの死》 トルストイの中編小説『イワン・イリッチの死』は、中央裁判所の判事にまで昇進し、家族も円満、友人にも恵まれ、立派な新居も完成間近の45歳の男が、突然「死に至る病」に直面する物語です。迫り来る死の不安の中で、イワンは孤独と絶望感、自己嫌悪に責め苛まれます。彼の成功の人生が単なる虚飾に過ぎなかったこと、それがあるがために却って、彼自身を苦しめていることを、トルストイは見事に描き出しています。19世紀に書かれた小説なのですが、イワンの苦悩は21世紀に生きる私たちと変わりません。

3.《開かれた門》 ホセアは紀元前8世紀の北王国の預言者です。神の召命によって「淫行の女」ゴメルと結婚しますが、彼女は別の男たちの子どもを3人産むのでした。恐らく、ゴメルは異教の大地豊穣を司る巫女(神殿娼婦)だったのでしょう。姦通した女性は石打ちで殺される時代です。不妊や料理の不出来を理由に女性が離縁される時代です。にも拘わらず、ホセアはゴメルを心から愛していたので、売り飛ばされた彼女の身請けさえするのです。ここに主なる神の深い愛が表現されているのです。その愛の故に、神さまはアカン一族が石打ちで処刑された「アコルの谷」、死の谷を「希望の門」へと変えて下さるのです。私たちにとっては、それこそが御子イエスの十字架です。

朝日研一朗牧師

posted by 行人坂教会 at 20:54 | 毎週の講壇から