2021年04月05日

どこかで朝が始まっている【マタイ 28:1〜10】

聖句「婦人たちは、恐れながらも大いに喜び、急いで墓を立ち去り、弟子たちに知らせるために走って行った。」(28:8)

1.《朝のリレー》 谷川俊太郎に「朝のリレー」という詩があります。初出は1968年の詩集ですが、1980年代に中学の国語の教科書に掲載され、2004年にはコーヒー会社のCMにも使用されて、多くの人に知られるようになりました。世界の各地に暮らす若者や子どもたちが時間差で朝を迎える様子が、地球上の人から人へと「朝がリレー」されていると表現されています。

2.《何を繋ぐか》 東京五輪の聖火リレーが始まりましたが、正直、コロナ禍とあって素直に祝福できません。聖火リレーの起源は古代ギリシアの「松明競争」と言われます。競技会の前に騎手や走者が松明を消さないように注意しながら、神殿までリレーする宗教儀礼でした。近代リレーの発祥は、米国の大学が大陸横断の「駅馬車」や「早馬」の制度をヒントにして、バトンを手渡すトラック競技を始めたとされています。米国の消防士の消防訓練競技で手旗をリレーしたという説もあります。日本の「駅伝」では「襷を繋ぐ」と言います。駅から駅へ馬を乗り換える「伝馬」制度を利用する役人が、朝廷から支給された「駅鈴」が襷の起源とも言われます。しかし、目に見えない何かを繋ぐリレーもあるのです。

3.《希望の朝だ》 最初に主の復活を伝えられたのは「マグダラのマリアともう一人のマリア」でした。「もう一人のマリア」とは「小ヤコブとヨセの母マリア」です。息子2人を主の弟子として送り出し、自らもガリラヤから従って来て、一行の世話をしていた女性です。十字架の最期を見届け、朝一番に墓参りにも来ています。彼女たちは、そこで転がる墓石、天使の啓示、逃亡する番兵、主の復活という出来事に出会うのです。福音を弟子たちに伝えるために、彼女たちは走ります。聖書の中で女性が走る場面は珍しいと思います。伝え聞いたペトロも墓に走ります。さながら「箱根駅伝」の往路と復路のようです。この2人の女性たちから、復活を伝える「朝のリレー」が始まり、2千年後の私たちの所に届きました。今日に至るまで、途絶える事無く続けられているのです。それが主日礼拝です。 

朝日研一朗牧師

posted by 行人坂教会 at 20:54 | 毎週の講壇から