2015年01月06日

恵みの年とするために【ルカ4:16〜30】

聖句「主がわたしを遣わされたのは、捕らわれている人に解放を、…圧迫されている人を自由にし、主の恵みの年を告げるためである。」(4:18,19)

1.《テゼ共同体》 第二次大戦の最中、ロジェ・シュッツという人がブルゴーニュ地方の寒村で祈りと労働の生活を始めました。ロジェは、ナチスの迫害を逃れて来た人たちをスイスへと逃亡させる支援を始めました。戦後、超教派による修道会を発足、各国の青年たちと共に祈る「テゼ共同体」が生まれたのです。

2.《ヨベルの年》 「讃美歌21」には「テゼ」の歌が11曲も入っています。ラテン語の歌詞が添えられているのは「テゼ」の中立性を表わしています。49番「全地よ主をほめうたえ」の「ユービロー/喜ぶ」は「ユービラェウス/記念の年」から来ています。英語の「ジュビリー」ですが、ヘブル語の「ヨベル」を語源としています。50年に1度「ヨベル/雄羊の角笛」を吹いて、その到来を告知したのです。その「ヨベルの年」には、一切の農業生産の停止、先祖の土地への帰還、奴隷解放、土地財産の無償返却が行なわれたのです。今なら、不動産業者と貸し金業者は軒並み倒産です。しかし、土地も人間の命も神さまからお預かりしているものなのです。「誰のものでもない」のです。

3.《パーソナル》 単なる昔話ではなく、近年、アフリカ・キリスト教協議会の呼びかけで「ジュビリー2000」運動が展開されました。イエスさまも、ローマ帝国の一極支配(グローバリズム)の中で、「ヨベルの年」の価値観をもって、ローマの押し付けて来るワールドスタンダードに対抗しようとされたのです。現代世界は、人口の1%の富裕層が全世界の富の半分を独占しています。その一方で、貧困と飢餓、虐待や搾取に苦しめられている人たちが大勢います。格差の拡大は他人事ではありません。大きな潮流の中で、無力感に襲われますが、どんなに巨大に見えても、この世は消え去るのです。「マス」に対抗するのは「パーソナル」です。神さまの為さる御業は全て、私たちの「人格」に関わることなのです。

朝日研一朗牧師

posted by 行人坂教会 at 07:16 | 毎週の講壇から