2016年01月11日

ヌーヴォー(新酒)大売出し【マルコ2:18〜22】

聖句「誰も、新しい葡萄酒を古い革袋に入れたりはしない。…新しい葡萄酒は、新しい革袋に入れるものだ。」(2:22)

1.《技術革新》 「ツール・ド・フランス」でも知られる、米国の自転車メーカー「スペシャライズド」の社是は「Innovate or Die/革新を、さもなくば死を」です。日本のメーカーの社是に比べると過激ですが、モノ作りに関わる人が仰ぐ信条としては決して間違ってはいません。「社是」に近い英語は「経営信条/Company Creed」でしょうか。すると、私たちの「信条」にも通じます。そもそもカンパニーもプロテスタント教会の組織運営が起源です。

2.《耐える力》 経営学者ドラッカーの一族は、16世紀の聖書印刷業者にまで遡ることが出来るそうです。「宗教改革は、ルターではなくグーテンベルクの力」と言われるように、技術革新が世の中を変えたのです。しかし「イノベーション」の語源は「農地開墾」や「挿し木、苗、若木」「新しい葡萄を植える」に通じます。19世紀に欧州の葡萄が、北米から来た害虫によって壊滅した時、北米産の野葡萄を台木として接ぎ木したことで耐性が出来たことも思い出されます。

3.《伸縮自在》 「新しい葡萄酒」も「新しい革袋」も、同じ「新しい」ですが、原語では「ネオス」と「カイノス」と使い分けられています。ほぼ同じ意味なので、どの翻訳も頓着していませんが、「new」と「fresh」とに訳し分けた英訳聖書がありました。「おニューのワインは、フレッシュな入れ物に」です。フレッシュとは弾力性、柔軟性、伸縮性、融通が利くです。何が何でも「前向き」ではなく、時には「尻込み、退却する」こともあるのです。世の中と異なる鷹揚さ、見守り育てる涵養さこそ、現代社会では、むしろフレッシュです。キリスト教会の「強み」(ドラッカーの言う)は、テクノロジーではありません。キリストの愛を信じて生きる人たちの共同体であることなのです。

朝日研一朗牧師

posted by 行人坂教会 at 18:49 | 毎週の講壇から