2016年12月26日

真夜中のメシア【ルカ2:8〜20】

聖句「その地方で羊飼いたちが野宿しながら、夜通し羊の群れの番をしていた。」(2:8)

1.《深夜食堂》 安倍夜郎のマンガ『深夜食堂』は、新宿花園界隈が舞台です。深夜0時に開店すると、客の注文に応えて「できるもんなら何でも作るよ」とマスターが言うお店です。暖簾には「めしや」と書いてあります。マスターは顔に傷痕のある男、やって来るお客も深夜だけに何か「ワケアリ」の人たち。でも、私たちも皆「ワケアリ」です。それぞれの事情を抱えて生きているのですから。

2.《聖なる夜》 「深夜食堂」は「真夜中のめしや」、イエスさまも「真夜中のメシヤ」でした。「マタイによる福音書」でも「ルカによる福音書」でも、クリスマスは「夜の出来事」として描かれています。ヨセフは夜の夢に天使の告知を聴きますし、占星術の学者たちも星に導かれてメシアを訪ねます。昼間に見えていたものが夜には見えなくなりますが、昼間に見えていなかったものが夜に見えるようになることもあるのです。月や星がそうです。街や家々の灯かりも夜に際立ちます。家があり、家族がいて、各人の暮らしがあり、喜びと悲しみがあります。家々の灯かりという形を取って、私たちにも見えるようになるのです。

3.《離れた所》 真夜中に働いている人たちの姿も見えて来ます。この羊飼いたちは雇い人で、羊の群れを預かっていたのかも知れません。少なくとも「その地方で」(「離れた所」を表わします)という語句から、自分の所有地を持たぬ者たちであることだけは確かです。2千年昔にも、王宮や神殿には夜勤をしていた衛兵や夜警がいたようです。羊飼いたちがクリスマスの御告げを受けたのは、むしろ彼らが都市の雑踏から離れた所にいたからです。多くの人々から離れて、外にあるからこそ見えて来るもの、聴こえて来る音もあるのです。私たちも少しだけ他の人たちと同じではない、離れた所に立ってみましょう。

朝日研一朗牧師

posted by 行人坂教会 at 21:43 | 毎週の講壇から