2017年03月13日

去り行くのは良いこと【ヨハネ16:4b〜15】

聖句「あなたがたの心は悲しみで満たされている。しかし、実を言うと、わたしが去って行くのは、あなたがたのためになる。」(16:6,7)

1.《被災者統計》 警察庁が発表する「東日本大震災」の死者行方不明者数も変動があります。震災直後は2万7千人でしたが、最新の発表では1万8千人に減っているのです。しかし、被害が少なくなった訳ではありません。犠牲者の一人一人に家族があり、家庭があったことを思うべきです。私たちは具体的に、自分の家族に置き換えて、その悲しみと衝撃と絶望を想像するべきなのです。

2.《関心喪失点》 数量が大きくなり過ぎても小さくなり過ぎても、人間は無感動になって関心を失ってしまうのです。何か「大き過ぎる数字」が出て来たら、意識して自分の生活感に置き換えて「初期化」することをお勧めします。福島県浜通りの復興帰還事業を見ていると、震災と原発事故によって引き裂かれた人たちが、更に引き裂かれているように感じます。「福音書」にも、十字架によって引き裂かれた人たちの証言が綴られています。「ヨハネによる福音書」のクライマックスは、14〜16章の「訣別説教」、17章の「訣別の祈り」です。イエスさまが去り行き、代わりに「弁護者」なる聖霊が弟子たちに来ると言うのです。

3.《聖霊の働き》 別離に当たって「あなたがたのためになる」と言うのが、千昌夫の「星影のワルツ」を思わせます。「…のためになる、益になる、に好都合」と訳されている「シュムフェロー/持ち寄る」は、自動詞になると「助ける、役に立つ」の意味です。心が悲しみで一杯だと言うのに、どうして弟子たちの役に立つ良いことがあるでしょうか。しかし、この悲しみの別離を体験することで、「弁護者、聖霊/パラクレートス」が与えられるのです。喪失の苦しみ悩みを知る者に「慰めるもの」が降って来るのです。この分断され、引き裂かれた苦しみに呻く世界を、結び合わせるのが「聖霊の働き」なのです。

朝日研一朗牧師

posted by 行人坂教会 at 18:51 | 毎週の講壇から