2018年12月10日

賢い女子たちのともし火【マタイ 25:1〜13】

聖句「賢いおとめたちは、それぞれのともし火と一緒に、壺に油を入れて持っていた。」(25:4)

1.《ある夜の物語》 SF作家、星新一のショートショートです。クリスマスイヴに「何でも願いを叶えて上げよう」と、サンタクロースが現われますが、孤独な青年も病気の女の子も、貪欲な金貸しも社会転覆を企むテロリストも、誰かが自分のことを思ってくれていたと気付いて、権利を譲って行くのです。そして何も貰わないのに、満足や喜びや幸せに溢れて行くという寓話です。

2.《賢者の贈り物》 O・ヘンリーの有名な短編では、若夫婦が自分の宝物を売ってプレゼントを購入しますが、無益な品物となります。その結果だけを見れば、愚かしく思われますが、この愛情の交換こそが、本当の「賢さ」なのだと作者は言います。「賢者」とは「マギ」、キリスト降誕を知って、東方から訪ねて来た占星術の学者たちのことです。メディア(現在のイラン北西部)の部族の中で、天文と魔術に通じた階級と言われています。つまり、本当の「賢さ」とは何なのかという、作者の問い掛けは、聖書のメッセージから来ているのです。

3.《ともし火の油》 迎えに来る「花婿」は再臨のキリスト、「十人の乙女」は信者、「婚宴」は天国です。だから「目を覚まして」「怠り無く準備して励めよ」と教えられて来ましたが、一番大切なのは「壺の中の油」を切らさないことです。「油/エライオン」は「憐れみ/エレオス」に通じますから、「愛の油、愛のともし火」なのです。「賢い」は頭の回転の速さや要領の良さ、利口さではなく「思慮深い」こと、他者のことを慮る愛の心なのです。「目覚めている」人とは、自分は愛されていて、自分もまた、誰かのために何事か出来ると感じている人のことです。「愚かな乙女」も「賢い乙女」も私たち自身の姿です。

朝日研一朗牧師

posted by 行人坂教会 at 20:53 | 毎週の講壇から