2019年07月08日

思い通りにならなくても【イザヤ55:8〜11】

聖句「わたしの思いは、あなたたちの思いと異なり/わたしの道はあなたたちの道と異なると主は言われる。」(55:8)

1.《新島とヘッセ》 2013年の大河ドラマ『八重の桜』の中で、スイス滞在中の新島襄が呼吸困難に陥り、遺言を書く場面がありました。その後、持ち直して膏薬を貼り、旅行を続けたようですが、その滞在中にK・O・J・ヘッセ牧師を訪ねています。そこに同席したのが、当時7歳のヘルマン・ヘッセでした。ヘッセは第一次大戦の時、反戦平和を標榜して迫害されますが、同胞の捕虜のために「慰問文庫」を設立して送る活動に従事しているのです。

2.《アウグスツス》 その「慰問文庫」の1冊が童話「アウグスツス」です。結婚後すぐに未亡人となった女性が出産します。それでも母親は子どもの幸せを願って「誰もがお前を愛さずにはいられないように」と願を掛けます。少年は美しく成長し、皆から愛されますが、次第に我儘で高慢に成り、やがて放蕩と歓楽に身を持ち崩します。絶望した青年は「今度は、ぼくが人々を愛せるように」と願を掛けるのです。すると、これまで彼を愛した人々からは憎まれ、投獄され、出獄した後も蔑まれます。しかし彼は、自らの溢れる愛と喜びを出会った人々に注いで行く、そんな巡礼のような生涯を全うするのです。

3.《愛することを》 人生は思い通りになりません。「アウグスツス」は「小児的全能感」を思わせます。私たちは皆、試行錯誤を繰り返しながら成長し、自と他の区別、善悪の区別が出来るようになります。自分の思い通りにしようとすることは、人間の罪ではないでしょうか。例えば、自然をコントロールしよとするのは傲慢です。「お言葉通りに」「御心のままに」と、神の御前にひれ伏していくのが人間の在り方ではないでしょうか。神さまのデザインと流儀にお委ねしては如何でしょうか。そこに幸福と救いがあるのです。

朝日研一朗牧師

posted by 行人坂教会 at 19:51 | 毎週の講壇から