2008年03月08日

ごあいさつ

こんにちは、朝日 研一朗です。

1962年、但馬地方、兵庫県朝来郡(現・朝来市)に生まれました。 1981年、19歳のクリスマスに、上賀茂伝道所(京都市)において、深田未来生牧師から洗礼を受けました。 深田先生のユーモアに溢れる人柄に惹かれたのも事実ですが、それだけではありません。 逼塞(ひっそく) しそうな地方のしがらみの中で育った私に、聖書の教えは、これまで考えたこともなかった新しい価値観を示してくれました。

学生時代は、映画館のオールナイトと自主上映会に入り浸っていました。幻想文学やオカルト趣味にもハマリました。 1986年、同志社大学大学院神学研究科修了。専攻は組織神学、研究テーマは「ドイツ神秘主義」でした。

同年、日本キリスト教団南大阪教会(大阪市阿倍野区)に赴任、上野光隆牧師、原忠和牧師の下で伝道師、副牧師を務めました。 大阪での5年間の後、1991年、日向福島教会(宮崎県串間市)に主任担任教師(牧師)として赴任、南九州で5年間を過ごしました。 1996年、琴似中央通教会(札幌市西区)に赴任、10年間を北海道で過ごしました。2006年、行人坂教会に赴任して、現在に至ります。

朝日研一朗牧師幼少期は、特撮映画の大ファンで、「スーツアクター」になるのが夢でした。映画は何でも観ますが、基本的に、SFとホラー映画が好きです。 音楽はオペラからロックまで、演歌からシャンソンまで、貪欲に聴きます。しかし、専門はサウンドトラックです。 副業で、CDのライナーノート(ビクター発売の「巴里のアメリカ人」「イースター・パレード」「恋の手ほどき」等)、 タワーレコードの出しているフリーペーパー「Bounce」に執筆したこともありました。

禁酒禁煙主義者ではありませんが、生まれつきの下戸で、人生を半分しか愉しむことができません。 近年、家族の厳しい要求を受けて禁煙しましたが、未だに愛用のパイプ道具一式を未練たらしく保存しています。

「映画百選」

「映画百選」をやるつもりが、中年太りのように膨らんで、だらしなく並べるだけになってしまいました。でも、それが今の自分に相応しいのかと思います。百本を目標に挙げてみると、外国映画に比べて、日本映画は年代が偏っています。日本映画を挙げてみると、自分の嗜好が露骨に明白になっています。

《洋画編》

  • ロマノフ王朝の最期」(Agoniya)1976年・蘇
    Elem Klimov/Alexei Petrenko,Anatoly Romashin,Velta Linel,Alisa Freindtlich
    猛毒を盛っても、拳銃で撃っても死なない怪僧ラスプーチン。殆どホラー映画です。でも、歴史大河ドラマとしても念入りに作り込まれていて感心しました。
  • オール・ザット・ジャズ」(All That Jazz)1979年・米
    Bob Fosse/Roy Scheider,Ann Reinking,Jessica Lange,Leland Palmer
    正統派のミュージカルにアレルギーを持つ私でも、これと『キャバレー』は大好きです。フィナーレ、死出の旅もステージ化される「バイバイ・ライフ」が傑作です。
  • アンドレイ・ルブリョフ」(Andrei Rublyov)1969年・蘇
    Andrei Tarkovsky/Anatoly Solonitsin,Ivan Lapikov,Nikolai Grinko
    ニコライ・ブルリャーエフ(『僕の村は戦場だった』)が出て来て、教会の鐘造りをする最後のエピソードが魂を揺さ振ります。ルブリョフが沈黙の行を終えるのです。
  • エンジェル・アット・マイ・テーブル」(An Angel at My Table)1990年・新
    Jane Campion/Kerry Fox,Alexia Keogh,Karen Ferguson,Iris Churn
    『ピアノ・レッスン』が有名なカンピオン、個人的には『スウィーティー』にも愛着が湧きますが、新婚間もない頃、夫婦で観て強い感銘を受けたのが本作です。
  • 皆殺しの天使」(El Angel Exterminador)1962年・墨
    Luis Buñuel/Silvia Pinal,Enrique Rambal,Jacqueline Andere,Claudio Brook
    ♪「残酷な天使のように…」の歌詞の出典です。あたかも魔術の結界が張られたかのように、邸宅の宴から一歩も外へ出られなくなったブルジョワたちの狂乱。
  • アパートの鍵貸します」(The Apartment)1960年・米
    Billy Wilder/Jack Lemmon,Shirley MacLaine,Fred MacMurray,Ray Walston
    次第に舗道を駈け出して行くマクレーンの表情の変化を捉えながら、横からカメラが伴走する移動撮影(トラベリング)、このシーンが本当に素晴らしいのです。
  • 死刑台のエレベーター」(Ascenseur pour l’Échafaud)1957年・仏
    Louis Malle/Maurice Ronet,Jeanne Moreau,Georges Poujoly,Lino Ventura
    不安に駆られて当て所なく、夜のシャンゼリゼを彷徨い歩くフロランス、そこに被さるマイルス・デイヴィスのトランペット。何と素晴らしいのでしょう。
  • 冒険者たち」(Les Aventuriers)1967年・仏
    Robert Enrico/Alain Delon,Lino Ventura,Joanna Shimkus,Serge Reggiani
    私の友人に、この映画の大ファンがいました。彼にとっては、レティシアの水葬の場面で映画が終わってしまっているのだそうです。とんでもないダメ男です。
  • ジェラシー」(Bad Timing)1979年・英
    Nicolas Roeg/Art Garfunkel,Theresa Russell,Harvey Keitel,Denholm Elliott
    映画そのものが、幻惑的なブリコラージュ。ウィーンの街並み、クリムトやシーレの絵画、キース・ジャレットのピアノに、トム・ウェイツの浪花節。
  • バーバレラ」(Barbarella)1967年・伊
    Roger Vadim/Jane Fonda,John Phillip Law,Anita Pallenberg,Milo O’Shea
    タイトルの無重力ストリップのお洒落、噛み付き人形や黒の衛兵のキッチュ感覚、デュランデュラン博士の操るオルガズム・オルガン。小学生で観てしまいました。
  • 空軍大戦略」(Battle of Britain)1969年・英
    Guy Hamilton/Michael Caine,Ralph Richardson,Robert Shaw,Trevor Howard
    大空戦の勝利で映画は終わらないのです。英国が制空権を勝ち取って、平和な空が回復され、敵機が来襲しない晴れた日が訪れる。これが幕切れです。リアルでした。
  • 昼顔」(Belle de Jour)1967年・仏
    Luis Buñuel/Catherine Deneuve,Jean Sorel,Michel Piccoli,Geneviève Page
    昔、私のGFはこの映画に憧れて、ヒロインの名前「セヴリーヌ」を飼い猫に付けたのですが、無理解な家族から「千振」と呼ばれ続けて、かなりメゲていました。
  • 地獄の天使」(The Born Losers)1967年・米
    T.C.Frank/Tom Laughlin,Elizabeth James,Jeremy Slate,William Wellman Jr.
    暴走族「ヘルズ・エンジェルズ」と対決する青年の話ですが、映画の前半、白いビキニと白いブーツの姿で押し通しているヒロイン(バイクに跨っている)が可愛いです。
  • ドラキュラ」(Bram Stoker’s Dracula)1992年・米・英・羅
    Francis Ford Coppola/Gary Oldman,Winona Ryder,Anthony Hopkins
    二重露出、コマ撮り、ミニチュア、鏡像とシルエット、石岡瑛子の誇張された衣装デザイン…。キッチュです。エリアーデの小説の映画化『胡蝶の夢』に続く道です。
  • パンドラの箱」(Die Büchse der Pandora)1928年・独
    G.W.Pabst/Louise Brooks,Fritz Kortner,Franz Lederer,Gustav Diessl
    ボブカットと言えばルル、ルルと言えばルイーズ・ブルックスです。淪落の末、最後はロンドンで夜の女になり、切り裂きジャックに殺されるのですが、可愛いのです。
  • カリガリ博士」(Das Cabinet des Dr.Caligari)1919年・独
    Robert Wiene/Werner Krauss,Conrad Veidt,Friedrich Fehér,Lil Dagover
    「ドイツ表現主義」を教えて貰いました。これを観て、夜の東京を破壊する『ゴジラ』もまた「カリガリ博士」の継承者だったということが分かりました。
  • カサノバ」(Il Casanova di Federico Fellini)1976年・伊
    Federico Fellini/Donald Sutherland,Tina Aumont,Cicely Browne
    年老いた性豪カサノバが、最後に恋するのが機械じかけの自動人形。カサノバをフェティシストにしてしまうところが、やはり、フェリーニ流なのでしょう。
  • 地獄に堕ちた勇者ども」(La Caduta degli Dei)1969年・伊・瑞
    Luchino Visconti/Dirk Bogarde,Ingrid Thulin,Hermut Berger,Renaud Verley
    突撃隊の乱痴気騒ぎの夜が明けて、酔漢が『トリスタンとイゾルデ』の「愛の死」を独唱していると、朝靄の中をシュマイザーで武装した親衛隊が近付いて来ます。
  • 時計じかけのオレンジ」(A Clockwork Orange)1971年・米
    Stanley Kubrick/Malcolm McDowell,Patrick Magee,Adrienne Corri
    リバイバルの時に映画館で数回以上は観ました。ジーン・ケリーの『雨に唄えば』が流れるのは伊達や酔狂ではありません。この映画は一種のミュージカルなのです。
  • コレクター」(The Collector)1965年・米
    William Wyler/Terence Stamp,Samantha Eggar,Maurice Dallimore
    舗道の脇に停車したワンボックスカーで、女子学生を拉致るというパターンのハシリです。高階良子の少女マンガ『昆虫の家』は、この映画のレズビアン版でした。
  • 暗殺の森」(Il Conformista)1970年・伊・仏
    Bernardo Bertolucci/Jean-Louis Trintignant,Stefania Sandrelli,Enzo Tarascio
    原題は「順応主義者」。ファシストの手先となりながら責任転嫁して、何の責任も取らず、戦後を生き延びるマルチェロの姿は、まさに私たち自身の原罪でもあります。
  • 暴力脱獄」(Cool Hand Luke)1967年・米
    Stuart Rosenberg/Paul Newman,George Kennedy,J.D.Cannon,Lou Antonio
    下敷きになっているのは、間違いなく「福音書」の物語。刑務所長のストローザ・マーティンの台詞「私らのコミュニケーションは失敗だ」の声真似をしたものです。
  • 白い馬」(Crin Blanc)1952年・仏
    Albert Lamorisse/Alain Emery,Laurent Roche,Clan-Clan,Pascal Lamorisse
    子どもの時、町の公民館の映画上映会で観たのです。余りも幼過ぎて、忘れてしまっていましたが、後に、ユングの『人間と象徴』を読んだ時に記憶が蘇えりました。
  • 戦争のはらわた」(Cross of Iron)1977年・西独・英
    Sam Peckinpah/James Coburn,Maximillian Schell,James Mason,David Warner
    第二次大戦の「東部戦線」なのですが、ラスト近く、塹壕から友軍を機銃掃射する場面は、ペキンパー版の『西部戦線異常なし』(ルイス・マイルストン監督)です。
  • 魚が出てきた日」(The Day the Fish Came Out)1967年・米
    Mihalis Kakogiannis/Tom Courtenay,Colin Blakely,Candice Bergen
    石森章太郎の『009ノ1』に同じ題名の回がありました。フェリーニの『甘い生活』のラストは奇形魚ですが、浜辺に大量の魚の屍骸が上がって来るのは怖いです。
  • 天国の日々」(Days of Heaven)1978年・米
    Terence Malick/Richard Gere,Brooke Adams,Sam Shepard,Linda Manz
    「創世記」12章と20章にある、アブラハムが妻サラを妹と偽る話が原典です。『地獄の逃避行』も良いけれども、ネストール・アルメンドロスの映像美が圧巻です。
  • シベールの日曜日」(Les Dimanches de Ville d’Avray)1962年・仏
    Serge Bourgignon/Hardy Kruger,Patricia Gozzi,Nicole Courcel,Daniel Ivernel
    氷の張った池の上に投げた石ころがキュキュキュと音を立てて滑ると、そこから二人の世界が始まるのでした。墨絵の映像と共に、音響効果も忘れてはいけません。
  • ロシュフォールの恋人たち」(Les Demoiselles des Rochefort)1967年・仏
    Jacque Demy/Catherine Deneuve,George Chakiris,Françoise Dorléac
    『シェルブールの雨傘』よりも絶対にこれを推します。離婚したばかりの友人にこれを観せたら、余りの音楽と色彩の美しさに涙をポロポロと流し続けていました。
  • ドクトル・マブゼ」(Dr.Mabuse,der Spieler Inferno)1922年・独
    Fritz Lang/Rudolph Klein-Rogge,Alfred Abel,Gertrud Welcker,Lil Dagover
    戦前ドイツの「ドクトル」と言えば「カリガリ」か「マブゼ」です。マブゼが札束の山に埋もれて発狂して行く場面は凄まじいです。これこそ究極のインフレです。
  • 燃えよドラゴン」(Enter the Dragon/龍争虎闘)1973年・米・香
    Robert Clouse/Bruce Lee,John Saxon,Jim Kelly,Ahna Capri,Yang Tse
    李小龍の截拳道(JKD)を学ぶためのテキストのような映画です。映画もまた「考えるな。感じろ!/Don’t Think,Feel!」ということに尽きるのです。
  • 血とバラ」(Et Mourir de Plaisir)1960年・仏
    Roger Vadim/Mel Ferrer,Elsa Martinelli,Annette Stroyberg
    小学生の時に観たので、怪奇とエロティシズムとが相性抜群とは知りませんでした。血が流れるドレス、手術室の悪夢、古城の花火…。夢を見るのが怖くなります。
  • SPIRIT」(Fearless/霍元甲)2006年・中
    Ronny Yu/Jet Li,中村獅堂,Li Sun,Yong Dong,Xu Ailing,原田眞人
    秘宗拳の使い手で、精武体育会の創始者、霍元甲の物語。それを、これまで方世玉や黄飛鴻を演じて来た李連が演じます。それに孫儷が可愛い(特に髪型が)のです。
  • ドラゴン怒りの鉄拳」(Fist of Fury/精武門)1971年・香
    Wei Lo/Bruce Lee,Nora Miao,Robert Baker,Maria Yi,橋本力,James Tien
    日本人の袴が変でも構いません。反日映画でも構いません。燃えるのです。大槻ケンヂでなくとも主題歌を歌いながら、ヌンチャクを振り回したくなるのです。
  • フォロー・ミー」(Follow Me!)1972年・米
    Carol Reed/Mia Farrow,Topol,Michael Jayston,Annette Crosbie
    今思えば、原作・脚本が『アマデウス』のピーター・シェイファーでした。マーラーの交響曲のネタとかね。ヒロインがハマーのドラキュラ映画を観る場面が嬉しいです。
  • フレンズ/ポールとミシェル」(Friends)1970年・英・米
    Lewis Gilbert/Sean Bury,Anicée Alvina,Ronald Lewis,Toby Robins
    少年時代に何の映画と出会うかは、とても大切です。アルルの陽光が忘れられず、似ても似つかぬ自分の故郷の風景に無理やり重ねました。想像力の訓練でした。
  • グエムル/漢江の怪物」(Goi-mool)2006年・韓
    Joon-ho Bong/Kang-ho Song,Hee-bon Byun,Hae-il Park,Doona Bae,Ah-sung Go
    怪獣映画の1つの頂点、1つの理想的な在り方を実現してしまった名作。漢江の河川敷で売店を営む一家と怪物との対決に燃え、味わい深い幕切れに胸が震えます。
  • ホーリー・マウンテン」(The Holy Mountain)1973年・墨・米
    Alejandro Jodorowsky/Horacio Salinas,Zamira Saunders,Juan Ferrera
    勿論『エル・トポ』の衝撃は凄かったのですが、こちらも、グロテスクでありながら祝祭的な導入に圧倒されます。オチの下らなさは、この際、不問にすべきです。
  • わが谷は緑なりき」(How Green Was My Valley)1941年・米
    John Ford/Walter Pidgeon,Maureen O’Hara,Roddy McDowall,Donald Crisp
    実家の近所にも鉱山町があったので、炭鉱町の雰囲気は、私も体験として知っています。掘り尽くされた後、あんなに栄えた町が緑に覆われて消滅して行くのです。
  • 炎628」(Idi i Smotri)1985年・蘇
    Elem Klimov/Alexei Kravchenko,Olga Mironova,Liubomiras Laucevicius
    SS機甲師団によってベラルーシの628の村で村民が根絶やしにされた話。野積みにされた死体の山、未だ温かいスープ、最後の大虐殺に至っては、さすがの私も…。
  • ジョアンナ」(Joanna)1968年・英
    Michael Sarne/Geneviéve Waite,Christian Doermer,Calvin Lockhart
    音楽を担当しているロッド・マッケンが大好きなのです。今でも中古レコード店で、彼のLPを見つけると、即買いするのです。彼の歌を聴くと郷愁を感じるのです。
  • ジョニーは戦場へ行った」(Johnny Got His Gun)1971年・米
    Dalton Trumbo/Timothy Bottoms,Marsha Hunt,Jason Roberds Jr.,Diane Varsi
    戦場で被弾して肉塊と化しながら生き続ける青年の話。若松孝二の『キャタピラー』も江戸川乱歩の『芋虫』も同系列です。キリスト役がドナルド・サザーランドです。
  • カオス/シチリア物語」(Kaos)1984年・伊
    Paolo e Vittorio Taviani/Margarita Lozano,Claudio Bigagli,Ciccio Ingrassia
    羊飼いがカラスの首に鈴を付けるプロローグ(残酷と詩情)から引き込まれました。以来、原作のピランデッロが大好きになり、息子にもその名前を付けた程です。
  • 浮き雲」(Kauas Pilvet Karkaavat)1996年・芬
    Aki Kaurismäki/Kati Outinen,Kari Väänänen,Elina Salo,Markku Peltola
    地味なのに何となく忘れられない映画があります。『ル・アーブルの靴みがき』を観ても本作を観ても、欧州の庶民は信じられないくらい食事が質素ですね。
  • ナック」(The Knack...and How to Get It)1965年・英
    Richard Lester/Michael Crawford,Ray Brooks,Donal Donnelly,Rita Tushingham
    ダブルベッドに女の子を乗せて、ロンドンの街を行ったり来たり。ベッドに乗ったまま、『チキ・チキ・バン・バン』のように世界中を旅することが出来たらなあ。
  • SOS北極…/赤いテント」(Krasnaya Palakta)1970年・蘇・伊
    Mikhail K.Kalatozov/Sean Connery,Claudia Cardinale,Peter Finch,Mario Adorf
    極地冒険映画の「極北」です。シロクマが怖ろしいことを教えてくれました。それ以上に、どこまでも真っ白の氷原に赤い点1つ、白い地獄、これもまた怖ろしい。
  • ヘルハウス」(The Legend of Hell House)1973年・米
    John Hough/Roddy McDowall,Pamela Franklin,Gayle Hunnicutt,Clive Revill
    脚本のリチャード・マチスンのファンなのです。当時、霊媒師役のP・フランクリンも大好きで、子役時代(『ライオン』『ねじの回転』)まで遡って観たように思います。
  • 長距離ランナーの孤独
    (The Loneliness of the Long Distance Runner)1962年・英
    Tony Richardson/Tom Courtenay,Michael Redgrave,Avis Bunnage,Peter Madden高校時代「怒れる若者たち」に憧れて、アラン・シリトーを片っ端から読み漁りました。思えば、それが契機でブリティッシュ・ロックが好きになったのでした。
  • 小さな悪の華」(Mais Ne Nous Delivrez pas du Mal)1970年・仏
    Joël Séria/Jeanne Goupil,Catherine Wagener,Bernard Dhéran,Gérard Darrieu
    典型的なトラウマ映画です。そして早過ぎた映画です。二人の少女は悪徳に憧れ、ボードレールの詩を暗誦しながら、学芸会のステージ上で焼身自殺を遂げるのです。
  • 悪夢の香り」(Mababangong Bangungot)1977年・比
    Kidlat Tahimik/Kidlat Tahimik,Mang Fely,Dolores Santamaria
    フィリピンの片田舎の青年がパリに行って体験する逆ユートピア物。フィリピンの民族宗教なのか、森の中で少年に割礼を施す場面が出て来て感動しました。
  • 黒衣の花嫁」(La Mariée Était en Noir)1968年・仏
    François Truffaut/Jeanne Moreau,Jean-Claude Brialy,Michel Bouquet
    小学校の時に読んだ、古賀新一&剣わたるの少女マンガ『わたしの葬式』の元ネタがこれであったと知ったのは高校生の時。ボブカットのジャンヌ・モロー可愛いです。
  • 女性上位時代」(La Matriarca)1968年・伊
    Pasquale Festa Campamile/Catherine Spaak,Jean-louis Trintignant
    「青春にスパーク!」の時代は過ぎつつも、カトリーヌの絶頂期(お色気全開)でしょう。テニスコートの鞭打ち、コガネムシのネックレス、今も忘れられません。
  • 午後の網目」(Meshes of the Afternoon)1943年・米
    Maya Deren/Maya Deren,Alexander Hammid
    タルコフスキーの『鏡』よりも30年以上前に、こんな作品があったのです。デーレンもまた、亡命ロシア人(ユダヤ系)でした。私の一番好きな前衛映画です。
  • 真夜中のカーボーイ」(Midnight Cowboy)1969年・米
    John Schlesinger/Jon Voight,Dustin Hoffman,Sylvia Miles,Barnard Hughes
    円谷ファンとしては、一瞬『ウルトラマン』がテレビに映るのが楽しいですが、切なく痛々しい友情物語です。同じく「長距離バス」がラストを飾る『卒業』と好対照。
  • ミリオンダラー・ベイビー」(Million Dollar Baby)2004年・米
    Clint Eastwood/Clint Eastwood,Hilary Swank,Morgan Freeman,Mike Colter
    昔、虫明亜呂無が「ボクシングは人生の暗喩だ」というジョイス・キャロル・オーツの言葉を引用していました。まさしく、その通りの映画。何と重いパンチでしょう。
  • 唇からナイフ」(Modesty Blaise)1966年・英
    Joseph Losey/Monica Vitti,Terence Stamp,Dirk Bogarde,Harry Andrews
    好みの役者が揃ったのはいいけれど、ただ遊んでいるだけみたいな映画。筋は滅茶苦茶、都合が悪くなるとギャグ展開。でも、何か知らんけどカッコ良いのです。
  • ベニスに死す」(La Morte a Venezia)1971年・伊
    Luchino Visconti/Dirk Bogarde,Bjorn Andresen,Silvana Mangano,Mark Burns
    萩尾望都や竹宮恵子の少女マンガに与えた影響は計り知れません。アッシェンバッハが夜の小路を彷徨う時、マーラーの「おお人間よ注意せよ」が流れるのが凄いです。
  • 死への逃避行」(Mortelle Randonnée)1983年・仏
    Claude Miller/Michel Serrault,Isabelle Adjani,Guy Marchand,Macha Méril
    美女が不幸な少女時代の故に殺人を繰り返す「ファム・ファタル映画」です。それを追う中年私立探偵の「父性愛」に似た恋愛感情。カーラ・ブレイの音楽がやるせない。
  • 将軍たちの夜」(The Night of the Generals)1966年・英・仏
    Anatole Litvak/Peter O’Toole,Omar Sharif,Tom Courtenay,Donald Pleasence
    当時「ニューロティック」という語が冠せられた映画が何本もありました。オトゥール扮するタンツ将軍が、ゴッホの絵の前で異常を来たして行く場面が凄い。
  • 吸血鬼ノスフェラトゥ」(Nosferatu: Eine Symphonie des Grauens)1922年・独
    F.W.Murnau/Max Schreck,Gustav Von Wangenheim,Greta Schroeder-Matray
    ドラキュラ伯爵を演じたシュレックが、実は、本物のヴァンパイアだったという映画もありましたね。確かに、どう見ても普通の人間には見えません。
  • ノスフェラトゥ」(Nosferatu- Phantom der Nacht)1978年・西独
    Wener Herzog/Klaus Kinski,Isabelle Adjani,Bruno Ganz,Walter Ladengast
    ハンザ同盟の都市ヴィスマルの街にネズミの大群が溢れて、ペストが蔓延して、街の住民たちが「死の舞踏」を始める、終末的な場面が美しく、感動的です。
  • 愛のメモリー」(Obsession)1976年・米
    Brian De Palma/Cliff Robertson,Genevieve Bujold,John Lithgow
    ヒチコックの『めまい』のリメークみたいな作品なのですが、あの陰惨な結末を敢えて避けたところが素晴らしい。最後の360度パンに私の涙腺も緩みっぱなし。
  • 黒いオルフェ」(Orfeu Negro)1959年・仏
    Marcel Camus/Breno Mello,Marpessa Dawn,Ademar Da Silva,Léa Garcia
    冒頭の「フェリシダーヂ」だけで、もう涙がチョチョ切れます。少年の凧の糸が切れてしまう場面に被さる「悲しみは終わらない。幸せは終わってしまうのに」の歌詞。
  • アウトロー」(The Outlaw Josey Wales)1976年・米
    Clint Eastwood/Clint Eastwood,Sondra Locke,Chief Dan George,John Vernon
    当時、イーストウッドの愛人だったS・ロックのお尻を見るための映画です。それと、噛みタバコの黒い滓汁をペッと吐いて、上手に犬の頭に当てるのを見ましょう。
  • パリ、テキサス」(Paris,Texas)1984年・西独
    Wim Wenders/Harry Dean Stanton,Natassja Kinski,Dean Stockwell
    その傷ついた男は、テキサス州にパリという場所があると言うのです。現代の荒野を彷徨いながら、その場所へ行くと言うのです。身につまされる作品でした。
  • 海辺のポーリーヌ」(Pauline à la Plage)1982年・仏
    Eric Rohmer/Arielle Dombasle,Amanda Langlet,Pascal Greggory,Féodor Atkine
    ロメールには『クレールの膝』という名作がありますが、要するに、これも「ポーリーヌの膝」なのです。バカンスで小麦色のリセエンヌの脚に接吻したい人向け。
  • 夕陽のガンマン」(Per Quelche Dollario in Più)1965年・伊・西
    Sergio Leone/Clint Eastwood,Lee Van Cleef,Gian Maria Volonte,Klaus Kinski
    マカロニウエスタンから、是非とも1本入れたかった。小学校時代の夕暮れ時、モリコーネ節を口笛で吹きながら、自転車に乗って家路を辿る毎日でした。
  • 小さな泥棒」(La Petite Voleuse)1988年・仏
    Claude Miller/Charlotte Gainsbourg,Dider Bezace,Simon de La Brosse
    映画とそのヒロインに恋してしまうことがあります。トリュフォーの『大人は判ってくれない』やコクトー×メルヴィルの『恐るべき子供たち』の記憶も蘇えります。
  • ピクニックatハンギングロック」(Picnic at Hanging Rock)1975年・豪
    Peter Weir/Rachel Roberts,Dominic Guard,Helen Morse,Jacki Weaver
    20世紀初頭の女子寄宿舎の生徒たちが、先住民の聖地にピクニックに行って、神隠しに遭うのです。ザンフィルのパンフルートの響きに虚を突かれます。
  • 死者からの手紙」(Pisma Myortvogo Cheloveka)1986年・蘇
    Konstantin Lopushansky/Rolan Bykov,Iosif Ryklin,Viktor Mikhaylov
    脚本にボリス・ストルガツキーが参加している。「核の冬」を描いた名作。終わり方はカレル・チャペックの『ロボット』と同じですが、感動の余り座席を立てません。
  • 灰とダイヤモンド」(Popiol i Diamont)1957年・波
    Andrej Wajda/Zbigniew Cybulski,Ewa Krzyzanowska,Adam Pawlikowski
    酒場のカウンターで死んでいった同志たちのグラスにウォッカを注ぎ、マチェックが火を灯して行きます。そこに流れる「モンテカシノの赤いケシ」の旋律。
  • 愛の嵐」(Il Portiere di Notte)1973年・伊
    Lilliana Cavani/Dirk Bogarde,Charlotte Rampling,Philippe Leroy,Isa Miranda
    元親衛隊員のマックスが男爵夫人に「それは聖書のお話です」と語り始めたのは「サロメ」の話。ドナウ川の橋を歩く二人の道行の気だるい幕切れ。頽廃の極地です。
  • ジェニーの肖像」(Portrait of Jennie)1948年・米
    William Dieterle/Jennifer Jones,Joseph Cotton,Ethel Barrymore,Lillian Gish
    中学の時、ロバート・ネイサンの原作を読みました。映画を観てみたら、ジェニーは少しお姉さんになり過ぎ。でも、雪のセントラルパークにドビュッシーは痺れます。
  • ポゼッション」(Possession)1980年・仏・西独
    Andrzej Zulawski/Isabelle Adjani,Sam Neill,Margit Carstensen,Heinz Bennet
    悪趣味の極み。カルロ・ランバルディ製作の蛸状の妖怪とアジャーニが交わっている場面は苦笑してしまいます。それより、彼女の憑依演技の方が何百倍も怖い。
  • サイコ」(Psycho)1960年・米
    Alfred Hitchcock/Anthony Perkins,Janet Leigh,Vera Miles,John Gavin
    何度もテレビで観ていたはずなのに、大学時代に映画館で観直してみたら、思わず座席から2回腰が浮くほど驚かされました。やはり、古典をナメたらイケマセン。
  • さらば青春の光」(Quadrophenia)1979年・英
    Franc Rddam/Phil Daniels,Mark Wingett,Philip Davis,Sting
    ザ・フーの『四重人格』をモチーフにして、1960年代のモッズ族を描いた名作。私も当時「Real Me」や「I’ve Had Enough」を叫びながらチャリを走らせてました。
  • 午後の曳航」(The Sailor Who Fell from Grace with the Sea)1976年・英Lewis
    John Carlino/Sarah Miles,Kris Kristofferson,Margo Cunningham
    岬の丘の上から出航する母船を見送りながら、死の午睡へと導かれる船員、生体解剖の準備を始める少年たち…。あの三島作品を英国で映画化してくれて感謝です。
  • 恐怖の報酬」(Le Salaire de la Peur)1952年・仏
    Henri-Georges Clouzot/Yves Montand,Folco Lulli,Peter Van Eyck,Charles Vanel
    緊張感が途切れた後でした。何もかも上手く運んでいたはずでした。何かが光ってから一瞬、空気が逆流した後に衝撃波が来たのです。これがホントに怖かった。
  • サムライ」(Le Samouraï)1967年・仏
    Jean-Pierre Melville/Alain Delon,François Périer,Nathalie Delon,Cathy Rosier
    この幕切れの台詞、後の『リスボン特急』でも再使用されてしまいます。良くも悪くも、この作品が、孤独で寡黙な殺し屋のイメージを作ってしまったのです。
  • いそしぎ」(The Sandpiper)1965年・米
    Vincente Minneli/Richard Burton,Elizabeth Taylor,Eva Marie Saint
    小学生の時にテレビで暇潰しに観て以来、60年代のメロドラマと言えば、これです。牧師(但し、教務教師だけど)の不倫を扱った作品として、職業的興味も湧きます。
  • サテリコン」(Satyricon)1970年・伊
    Federico Fellini/Martin Potter,Hiram Keller,Max Börn,Capucine,Magali Noël
    「トリマルキオの饗宴」を実写化したという事柄だけでも意味があります。マルコ・フェレーリの『最後の晩餐』と同時上映したら良いと思います。ゲボッ(嘔吐)。
  • 黄金の七人」(7 Uomini d’Oro)1965年・伊
    Marco Vicario/Rossana Podestà,Philippe Leroy,Gastone Moschin,Gabriele Tinti
    今見ても楽しめます。子どもが見ても楽しめます。犯罪をこんなにも屈託なく、お洒落に魅せた作品は余り例がありません。
  • シルミド」(Silmido)2003年・韓
    Woo-seok Kang/Kyeong-gu Seol,Seong-gi Ahn,Joon-ho Heo,Won-hee Im
    『冬のソナタ』とか『八月のクリスマス』の対極に存在する、これが本来の韓国映画のベタな味です。70年代の日本映画が持っていたアナーキーさが輝いています。
  • 第七の封印」(Det Sjunde Inseglet)1957年・瑞
    Ingmar Bergman/Max Von Sydow,Gunner Björnstrand,Bengt Ekerot,Nils Poppe
    「怒りの日」を歌い、自らの背中を鞭打ちながら歩く苦行者の集団が出て来ます。地獄巡りのような騎士の旅は、『アンドレイ・ルブリョフ』にも受け継がれています。
  • スローターハウス5」(Slaughterhouse-Five)1972年・米
    George Roy Hill/Michael Sacks,Valerie Perrine,Eugene Roche,John Dehner
    グレン・グールドの「ゴールトベルク変奏曲」の流れるSF映画。ドレスデン大空襲の翌朝、廃墟に恋人を求めて泣き叫ぶドイツの少年兵の場面、何度観ても涙が出ます。
  • 惑星ソラリス」(Solaris)1972年・蘇
    Andrei Tarkovsky/Natalya Bondarchuk,Donatas Banionis,Yuri Yarvet
    『僕の村は戦場だった』も『鏡』も、タルコフスキー作品は一種のホラーだと思っています。泉鏡花の幽霊ものにも通じますが、美しくてもホラーは可能なのです。
  • スターシップ・トゥルーパーズ」(Starship Troopers)1997年・米
    Paul Verhoeven/Casper Van Dien,Dina Meyer,Denise Richards,Jake Busey
    「切り株」系の初心者に最適。バグズの群れに襲われて、地球連邦軍(と言うか、米海兵隊そのもの)の兵士がバッサバサと切断されて行く様はサイコーです。
  • サンセット大通り」(Sunset Boulevard)1950年・米
    Billy Wilder/William Holden,Gloria Swanson,Erich von Stroheim,Fred Clark
    殆ど怪奇映画の趣があります。そもそもプールに浮かぶ死体が語り手なのですから。スワンソンとフォン・シュトロハイムの怪演もユニバーサルの怪奇映画みたい。
  • 光と影のバラード」(Svoi sredi Chyuzhih,Chyuzhoi sredi Svoih)1974年・蘇
    Nikita Mikhalkov/Yuri Bogatyroyov,Nikita Mikhalkov,Sergey Shakurov
    ロシア革命直後、山賊もどきの無政府主義者、反革命の白軍と地方委員会が三つ巴の宝石争奪戦。これって、コルブッチのメキシコ革命三部作と同じでしょう。
  • ジプシーは空にきえる」(Tabor Ukhodit v Nebo)1976年・蘇
    Emil Loteanu/Grigore Grigoriu,Svetlana Toma,Barasbi Mulayev
    「賢者と愚者のどちらが幸せか?」−「愚者だ。知恵が多いと悲しみも多い」。そんな遣り取りで始まる映画でした。でも、やはり、愚者の人生も悲しみが多いです。
  • 桜桃の味」(Ta’m e Guilass)1997年・意
    Abbas Kiarostami/Homayoun Ershadi,Abdolrahman Bagheri,Safar Ali Moradi
    アフガニスタンからイスラムを学びに来ている神学生が出て来ます。「9.11」事件後、米議会がアフガン侵攻決議をした時、本作が思い出されてなりませんでした。
  • ドラキュラ血の味」(Taste the Blood of Dracula)1969年・英
    Peter Sasdy/Christopher Lee,Linda Hayden,Geoffrey Keen,Anthony Higgins
    死滅したドラキュラの遺灰に、生き血を注いで、それを弟子の貴族が飲むと復活するのですが、インスタントコーヒーやカップスープを思い出してしまったのでした。
  • タクシードライバー」(Taxi Driver)1976年・米
    Martin Scorsese/Robert De Niro,Harvey Keitel,Cybill Shepherd,Jodie Foster
    高校時代に遭遇。これまで観たどんな作品とも違う感覚に驚きました。今思えば、ドストエフスキーの『地下生活者の手記』70年代NY版というところでしょうか。
  • アラバマ物語」(To Kill a Mockingbird)1962年・米
    Robert Mulligan/Gregory Peck,Mary Badham,Philip Alford,John Megna
    人種偏見の強い村で、容疑者の黒人男性を匿った弁護士が奮闘する、ヒューマンな物語を、幼い娘の視点で描いています。ソール・バスのタイトルを観るだけで泣けます。
  • ショック療法」(Traitement de Choc)1972年・仏
    Alain Jessua/Alain Delon,Annie Girardot,Robert Hirsch,Jeanne Colletin
    回春療法をやっている療養所は、ポルトガル人の出稼ぎ労働者の臓物を使っていたというグロテスクな物語ですが、きっと、これは労働搾取の暗喩でしょうね。
  • ベティ・ブルー/愛と激情の日々」(37°2 le Matin)1987年・仏
    Jean-Jacques Beineix/Beatrice Dalle,Jean-Hugues Anglade,Gérard Darmon
    ガブリエル・ヤードの音楽が最高です。ゾルグとベティがピアノを連弾する場面など、忘れられません。チリ・コン・カルネは、この映画で覚えた料理でした。
  • ラストタンゴ・イン・パリ」(Ultimo Tango a Parigi)1972年・伊
    Bernardo Bertolucci/Marlon Brando,Maria Schneider,Jean-Pierre Léaud
    音楽はサックスのガトー・バルビエリ、イタリア出稼ぎ時代です。将来計画を立てられなくて悶々と過ごしていた時期、この映画の荒涼とした感じが堪りませんでした。
  • 吸血鬼」(Vampyr)1931年・仏・独
    Carl Dreyer/Julian West,Henriette Gérard,Sybille Schmitz,Maurice Schultz
    昼でもなければ夜でもない世界、朝なのか夕なのか知りませんが、黄昏の時間が続く作品です。泉鏡花が観ていたら、どんなに歓んだことでしょうか。
  • 女と男のいる鋪道」(Vivre Sa Vie)1962年・仏
    Jean-Luc Godard/Anna Karina,Sady Rebbot,André Labarthe,Brice Parain
    娼婦ナナがツイスト風のレコードを掛けて踊る場面があります。サックス奏者の尾田悟さんと飲んだ時、「あれ、日本公開用に俺が書いた曲なんだよ」と言っていました。
  • 妖婆/死棺の呪い」(Viy)1967年・蘇
    Konstantin Ershov,Georgi Kropachyov/Leonid Kuravlyov,Natalya Varley
    キエフの神学生が古い教会堂で三夜に及ぶ祈祷を命じられますが、若い娘の遺体は魔女に取り憑かれていて、魑魅魍魎たちとの恐怖の闘いが彼を待っているのでした。
  • 銀河」(La Voie Lactee)1968年・仏・伊
    Luis Buñuel/Laurent Terzieff,Paul Frankeur,Delphine Seyrig,Bernard Verley
    「銀河」とは、パリからスペインの聖地「サンチャゴ・デ・コンポステーラ」への巡礼の旅路のことです。聖書の引用が溢れているばかりか、かなり猛毒な作品です。
  • ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち」(Watership Down)1979年・英
    Martin Rosen/(voice)John Hurt,Richard Briers,Ralph Richardson
    開発で土地を追われたウサギたちが「約束の土地」を求めて危険な旅をします。当然ながら「出エジプト記」です。『平成たぬき合戦ぽんぽこ』と対照的な感性です。
  • ウィッカーマン」(The Wicker Man)1973年・英
    Ron Hardy/Edward Woodward,Christopher Lee,Britt Ekland,Diane Cilento
    確か、諸星大二郎の漫画にも、同じ生贄テーマの作品がありました。とにかく歌と踊りが圧巻です。実は、その力で異文化の世界へとトリップさせられるのです。
  • ワイルドバンチ」(The Wild Bunch)1969年・米
    Sam Peckinpah/William Holden,Ernest Borgnine,Robert Ryan,Ben Johnson
    強盗団の首領パイクの「No Way」という呟きは、時代に取り残されて圧殺されて行った者たちの怨みと呻きです。冒頭に『恐怖の報酬』へのオマージュがあります。
  • 恋する女たち」(Women in Love)1969年・英・米
    Ken Russell/Glenda Jackson,Oliver Reed,Alan Bates,Jennie Linden
    ケンちゃんの作品は『マーラー』も『リストマニア』も好きですが、正統派のドラマを挙げましょう。傷付け合わないではいられない愛も、この世には存在するのです。
  • 地下鉄のザジ」(Zazie dans le Métro)1960年・仏
    Louis Malle/Catherine Demongeot,Philippe Noiret,Carla Marlier,Yvonne Clech
    パリの名所案内をしながらの10歳のお転婆娘の冒険物語…と言ったら、余りに健康的に聞こえます。スラップスティックなのに、何かビザールな雰囲気があります。

《邦画編》

  • 夜がまた来る」(Alone in the Night)1994年
    石井隆/夏川結衣、根津甚八、寺田農、椎名吉平、永島敏行、竹中直人、余貴美子
    飽く迄も日本的ノワール、日本的ファムファタル、フランスにもアメリカにもない世界。それが石井隆の世界です。エロマンガ時代からお世話になっています。
  • 太平洋ひとりぼっち」(Alone on the Pacific)1963年
    市川崑/石原裕次郎、森雅之、田中絹代、浅丘ルリ子、大坂志郎
    堀江謙一の単独ヨット太平洋横断の物語ですが、粉末乳製品で甘味への飢餓感を凌いだり、客船と出会う場面の楽しさが印象的。ラストの御就寝もリアルでした。
  • 天使のはらわた/赤い教室」(Angel Guts: Red Classroom)1979年
    曾根中生/水原ゆうき、蟹江敬三、あきじゅん、水島美奈子、佐藤恵子、草薙良一
    転落して行く女を描かせると、曾根中生の右に出る人はいません。村木が「実習中の腕章がさ…」と呟いた瞬間、凍り付く名美の顔が美しくも切なく、怖ろしい。
  • どうぶつ宝島」(Animal Treasure Island)1971年
    池田宏/(声)松島みのり、増山江威子、天地聡子、小池朝雄、富田耕生、高木均
    当時、作構成の宮崎駿が「赤旗新聞」日曜版にカラー連載していました。キャシーは『コナン』のモンスリーの原点、ラストの火山湖は『カリオストロの城』です。
  • 竜馬暗殺」(The Assassination of Ryoma)1974年
    黒木和雄/原田芳雄、石橋蓮司、中川梨絵、松田優作、桃井かおり、天坊準、粟津號
    この映画のせいで、私にとっての坂本龍馬のイメージは、原田芳雄に定着してしまいました。何だか、町家の2階に間借りして暮らしている京都の浪人生みたいです。
  • 非行少女」(Bad Girl)1963年
    浦山桐郎/浜田光夫、和泉雅子、小池朝雄、香月美奈子、小沢昭一、小夜福子
    浦山の厳しい注文の連続に対して、撮影中、和泉は本気で彼を殺そうと考えていたそうです。そのせいでしょうか、メラメラと輝く彼女が見れる唯一無二の作品です。
  • 不良少女 魔子」(Bad Girl Mako)1971年
    蔵原惟二/夏純子、宍戸錠、戸部夕子、藤竜也、岡崎二朗
    日活アクションの断末魔のような作品。実は、夏純子のファンだったのです。これと、中平康の『混血児リカ』、岩城滉一の『爆発!暴走』シリーズ。意外に好きです。
  • 楢山節考」(Ballad of Narayama)1958年
    木下恵介/田中絹代、高橋貞二、望月優子、宮口精二、伊藤雄之助
    あの凄まじい話を実写化するために歌舞伎の様式を採り入れたのです。ところで、私が観た時、観客は私独りでした。私のためだけに映写された映画として忘れ難い。
  • 人情紙風船」(Ballad of the Paper Balloons)1937年
    山中貞雄/中村翫右衛門、河原崎長十郎、山岸しづ江、霧立のぼる、中村鶴蔵
    江戸時代の貧乏長屋を描いた映画は数あれど、これが一番切なく哀しい。何しろ自死で始まり無理心中で終わる物語です。ラストで長屋の溝を流れて行く紙風船1つ。
  • 鴨川ホルモー」(Battle League Horumo)2009年
    本木克英/山田孝之、栗山千明、濱田岳、石田卓也、芦名星、荒川良々、石橋蓮司
    学生時代、友人宅から深夜の吉田神社の前を通って帰ったものです。残念ながら「レナウン」の「ワンサカ娘」で裸踊りをする集団には遭遇しませんでした。
  • 江戸川乱歩の陰獣」(Beast in the Shadows)1977年
    加藤泰/あおい輝彦、香山美子、若山富三郎、大友柳太郎、川津祐介、田口久美
    石井輝男が『パノラマ島奇談』を映画化した『江戸川乱歩全集/恐怖奇形人間』の破天荒さよりも、私としては、オーソドックス且つ妖艶な本作を推したいと思います。
  • 野獣死すべし/復讐のメカニック」(The Beast Shall Die)1974年
    須川栄三/藤岡弘、黒沢年男、緑魔子、真理明美、小松方正、村井国夫
    勿論『仮面ライダー』世代としては、藤岡のアクション目当てに観たのですが、これで私は、緑魔子のファンに成ってしまいました。トビー門口も忘れてはいけません。
  • 青春の蹉跌」(Bitterness of Youth)1974年
    神代辰巳/萩原健一、桃井かおり、壇ふみ、河原崎健三、荒木道子、高橋昌也
    誰かの視線を感じるのか、いつも後ろを振り返り、「エンヤトット」の「斎太郎節」をエンドレスで口ずさむショーケン。役名も「賢一郎」ですから、私の青春です。
  • 籔の中の黒猫」(Black Cat)1968年
    新藤兼人/中村吉右衛門、乙羽信子、太地喜和子、佐藤慶、戸浦六宏、殿山泰司
    坂田銀時が羅城門の鬼退治をする有名な話をベースにしています。しかし、銀時が退治に行った化け猫の妖怪は、落武者に殺された自分の母と妻だったのです。
  • 幽霊屋敷の恐怖/血を吸う人形」(Bloodsucking Doll)1970年
    山本迪夫/松尾嘉代、中尾彬、中村敦夫、南風洋子、高品格、小林多岐子
    「血を吸う」シリーズ第1作。岸田森の吸血鬼が登場するのは2作目からですが、脅えて逃げ回った末、下男の高品に拘束されるヒロインが私の直球ド真ん中でした。
  • 殺しの烙印」(Branded to Kill)1967年
    鈴木清順/宍戸錠、小川万里子、真理アンヌ、玉川伊佐男、南原宏治
    殺し屋No.1のランキングを巡るプロ同士の殺し合い。初めて観た時、『ルパン三世』第1シーズンと同じ匂いを感じたのは、脚本家の中に大和屋竺がいたからでした。
  • ビルマの竪琴」(The Burmese Harp)1956年
    市川崑/三國連太郎、安井昌二、北林谷栄、西村晃、三橋達也、伊藤雄之助
    勿論「埴生の宿」と「旅愁」が有名です。しかし、それと共に「インパール作戦」「白骨街道」「グルカ兵」等という語も、この映画で知ることが出来ました。
  • 天空の城ラピュタ」(Castle in the Sky)1986年
    宮崎駿/(声)田中真弓、横沢啓子、初井言榮、寺田農、常田富士男、糸博
    子どもの時、熱狂した『どうぶつ宝島』の雰囲気に一番近いのは、これかも知れません。寺田農のムスカは、これ以上は望むべくもないくらいに最高の敵役です。
  • 砂の器」(The Castle of Sand)1974年
    野村芳太郎/丹波哲郎、森田健作、加藤剛、島田陽子、山口果林、加藤嘉、緒形拳
    刑事たちに和賀英良の写真を見せられた加藤嘉が「そんな男は知らん」と言いながら号泣する場面、たった、それだけのことなのに強く胸が締め付けられるのです。
  • クレオパトラ」(Cleopatra: Queen of Sex)1970年
    山本暎一、手塚治虫/(声)中山千夏、ハナ肇、なべおさみ、野沢那智
    「虫プロのアニメだから」と、小学生時代に家族で観てしまいました(大変な勘違い)。テレビ版は、かなり配慮してカットされていましたが、そうは言ってもねぇ…。
  • 戒厳令」(Coup d’Etat)1973年
    吉田喜重/三國連太郎、松村康世、三宅康夫、八木昌子
    二・二六事件の首謀者たちは皆、「天皇陛下、万歳!」と叫びながら銃殺されて行きます。三國の北一輝は「私は死ぬ前に冗談は言わん主義だ」と決め台詞を吐きます。
  • 狼の紋章」(Crest of the Wolf)1973年
    松本正志/志垣太郎、黒沢年男、安芸晶子、加藤小夜子、本田みちこ、松田優作
    平井和正の「ウルフガイ」1作目の映画化。『おおかみこどもの雨と雪』にも、案外、この作品が影響を与えているように思います(アラスカの雪原に暮らす母子)。
  • 仄暗い水の底から」(Dark Water)2001年
    中田秀夫/黒木瞳、菅野莉央、小日向文世、徳井優、谷津勲、小木茂光、水川あさみ
    毎日、雨が降っているような季節、引っ越したばかりの部屋の雨漏り、決まらない就職先、仕事のために遅れる保育園のお迎え…。それだけで、もうホラーなのです。
  • 本陣殺人事件」(Death at an Old Mansion)1975年
    高林陽一/中尾彬、田村高廣、高沢順子、新田章、東竜子、水原ゆう紀、常田富士男
    水車のゴトゴト鳴る音、乱れ弾かれた琴の音、琴の弦が切れる音…。オープニングタイトルの段階で聴こえて来て、映画が終わっても脳裏にこびり付いています。
  • 絞死刑」(Death by Hanging)1968年
    大島渚/佐藤慶、渡辺文雄、石堂淑朗、足立正生、戸浦六宏、小松方正、小山明子
    やはり、私としては、教戒師の神父を演じる石堂(脚本家)に注目します。素人臭さにリアリティ感じます。神父もまた国家権力の側で死刑執行に立ち会うのです。
  • 鬼畜」(The Demon)1978年
    野村芳太郎/緒形拳、岩下志麻、岩瀬浩規、吉沢美幸、石井均、蟹江敬三
    岩下が「喰え!」と叫びながら泣く幼児の口にご飯を突っ込む場面は、ホラーです。娘を置き去りにした東京タワー点灯の瞬間を、緒形が見てしまう場面も戦慄でした。
  • 赤い鳥逃げた?」(Did the Red Bird Escape?)1973年
    藤田敏八/原田芳雄、桃井かおり、大門正明、白川和子、殿山泰司、内田朝雄
    安田南の歌う「愛情砂漠」が大好きです。米ニューシネマや英フリーシネマ、伊ネオレジスタのようには成らず、ただ何となく漂っている感じが堪らなく良いのです。
  • 遠雷」(Distant Thunder)1981年
    根岸吉太郎/永島敏行、ジョニー大倉、石田えり、横山リエ、ケーシー高峰
    『狂った果実』『キャバレー日記』と、この時代の根岸作品は、どれも忘れ難いです。恋人たちがトマト栽培のビニールハウスで一夜を過ごすという設定は最高でした。
  • 心中天網島」(Double Suicide)1969年
    篠田正浩/岩下志麻、中村吉右衛門、小松方正、滝田裕介、藤原釜足、加藤嘉
    馴れ初めの前半は書き割り、道行きの後半はロケーションと、メリハリ付けた演出に驚かされました。『曽根崎心中』の時も思ったけど、心中は楽ではありませんね。
  • 天使の恍惚」(Ecstacy of the Angels)1972年
    若松孝二/吉沢健、横山リエ、荒砂ゆき、足立正生、秋山ミチヲ、山下洋輔
    革命軍「四季協会」という政治セクトが出て来て、末端メンバーは曜日名、幹部は月名、大幹部は四季名で呼ばれているのです。チェスタトンを思い出させます。
  • ゆきゆきて、神軍」(The Emperor’s Naked Army Marches on)1987年
    原一男/奥崎謙三、山田吉太郎、崎本倫子、野村寿也
    撮影を利用しようとするエキセントリックな被写体と出会う時、作品はドキュメンタリーの枠を軽々と超えて、尋常ならざる即興ドラマへと展開して行くのです。
  • 小早川家の秋」(The End of Summer)1961年
    小津安二郎/中村雁治郎、浪花千栄子、新珠三千代、原節子、司葉子、小林桂樹
    造り酒屋の当主が妾の家でポックリ。火葬場から煙が立ち上るのを、笠智衆と望月優子が目に留めて、「また、誰か死んだの」と呟き、手を合わせて祈るのです。
  • 殺人狂時代」(Epoch of Murder Madness)1967年
    岡本喜八/仲代達矢、団令子、砂塚秀夫、天本英世、滝恵一、富永美沙子
    この時代の団令子の可愛さ。彼女に「牧師さんみたい」と言われる仲代。精神病院院長、溝呂木(死神博士)が殺し屋組合のボスで、最後はお得意のスペイン式決闘。
  • ドレミファ娘の血は騒ぐ」(The Excitement of the Do-Re-Mi-Fa Girl)1985年
    黒沢清/洞口依子、麻生うさぎ、加藤賢宗、伊丹十三
    加藤の歌う♪「大学は花盛り/一言で言えば戦場さ」というトボケた声が今も耳に着いて離れません。『女子大生・恥ずかしゼミナール』を再編集した作品です。
  • 家族ゲーム」(The Family Game)1983年
    森田芳光/松田優作、伊丹十三、由紀さおり、宮川一朗太、辻田順一、阿木燿子
    父親(伊丹)が家庭教師(松田)と駐車場の自家用車の中で密談する場面は、言うまでもなく『2001年宇宙の旅』です。日常生活の中にSFが滲み込んでいます。
  • 女囚701号/さそり」(Female Prisoner #701: Scorpion)1972年
    伊藤俊也/梶芽衣子、夏八木勲、横山リエ、渡辺やよい、扇ひろ子、三原葉子
    大島渚作品を扇情的な娯楽映画に仕立てたら、きっと「さそり」に成ったはずです。例の黒装束も囚人服も、主題歌「怨み節」も、梶の睨みがあってこそです。
  • 車夫遊侠伝/喧嘩辰」(Fighting Tatsu,the Rickshaw Man)1964年
    加藤泰/内田良平、桜町弘子、藤純子、河原崎長一郎
    侠気あふれる車引きを内田が演じています。坂妻の『無法松の一生』と同じですが、乱暴者の喧嘩太郎なのに、惚れた女性に尽くす男の純情は格好良いですね。
  • 秒速5センチメートル」(5 Centimeters per Second)2007年
    新海誠/(声)水橋研二、近藤好美、尾上綾華、花村怜美、水野理紗、寺門裕香
    第2話「コスモナウト」で、澄田が感情を抑え切れずに泣き始めると、ロケットが打ち上がります。フレドリック・ブラウンの『天の光はすべて星』ですよね。
  • 忘れられた皇軍」(The Forgotten Army)1963年
    大島渚/(語り)小松方正
    在日コリアンの傷痍軍人たちが軍人恩給さえ貰えない窮状を訴え、省庁や韓国の代表部に行って門前払いを食わされるのです。僅か25分の作品ですが衝撃的でした。
  • ガメラ3/邪神<イリス>覚醒」(Gamera 3: Revenge of Iris)1999年
    金子修介/中山忍、前田愛、藤谷文子、山咲千里、手塚とおる、安藤希、小山優
    「平成ガメラ三部作」のフィナーレ。切ない怪獣愛の溢れる作品です。怪獣に人間ドラマを絡ませるために「依代」「依童」のモチーフを入れたのは凄く良かったです。
  • 肉体の門」(Gate of Flesh)1964年
    鈴木清順/河西都子、野川由美子、松尾嘉代、石井トミコ、冨永美沙子、宍戸錠
    ボルネオ・マヤの野川を見るための映画。それ以外にはありません。泣き喚き、転び、走り、居直り、全身全霊で女を演じています。これこそが「敗戦」なのです。
  • 怪談雪女郎」(Ghost Story of the Snow Witch)1968年
    田中徳三/藤村志保、石浜朗、長谷川待子、内藤武敏、鈴木瑞穂、須賀不二男
    多分、私が初めて観た「雪女」映画でした。恐ろしさよりも哀れさが強調されていたように思います。実は「女郎」というところが本作のミソなのです。
  • 巨人と玩具」(Giants and Toys)1958年
    増村保造/川口浩、野添ひとみ、高松英郎、伊藤雄之助、信欣三
    未だ広告代理店のない時代の話、製薬会社の宣伝部の社員が街で拾った女の子をアイドルに仕立てて、販売実績を上げるのですが…。今も何も変わっていません。
  • 笹笛お紋」(Girl with Bamboo Leaves)1969年
    田中徳三/安田道代、内田良平、川崎あかね、冨士真奈美、須賀不二男、内田朝雄
    笹の葉を飛ばして敵の頚動脈を切断するという、あり得ない技を使う女渡世人の話。この時代の安田(大楠)道代が大好きだったのです。ただ、それだけです。
  • 時をかける少女」(The Girl Who Cut Time)1983年
    大林宣彦/原田知世、高柳良一、尾尾としのり、津田ゆかり、岸部一徳、根岸季衣
    音楽の松任谷正隆がインタビューに答えて、ラストのカーテンコールは、勿論『ジョアンナ』を意識したとのことでした。これこそ「アイドル映画」の王道でしょう。
  • ゴジラ」(Godzilla)1954年
    本多猪四郎/志村喬、河内桃子、宝田明、平田昭彦、菅井きん、堺左千夫、村上冬樹
    『七人の侍』と同じく外したくても外せません。観る度に泣いてしまいます。世界は余りにも残酷です。ゴジラにとっても、ゴジラに踏み殺される人々にとっても…。
  • ゴジラ×メカゴジラ」(Godzilla Against MechaGodzilla)2002年
    手塚昌明/釈由美子、宅麻伸、中尾彬、高杉亘、友井雄亮、水野久美、小野寺華那
    先ず大島ミチルの音楽が伊福部を忘れさせるくらい素晴らしかった。女の子が「3式機龍」に乗って、ゴジラと戦う。やっとアニメの世界に追いついた感じでした。
  • ゴジラ・モスラ・キングギドラ/大怪獣総攻撃
    (Godzilla,Mothra and King Ghidorah: Giant Monsters All-Out Attack)2001年
    金子修介/新山千春、宇崎竜童、小林正寛、佐野史郎、仁科貴、南果歩、天本英世、赤坂憲雄「太平洋戦争の犠牲者が憑依したゴジラ説」の映画化。ゾンビだから「白目ゴジラ」。同時上映『とっとこハム太郎』に来た幼児連れはとっとと退散していた。
  • シン・ゴジラ」(Godzilla: Resurgence)2016年
    庵野秀明、樋口真嗣/長谷川博己、竹野内豊、石原さとみ、大杉漣、柄本明
    作品としては1つも完成品の出来ない、畸形のような「エヴァ」シリーズを製作し続けている庵野監督が、なぜ、こんな文句の付けようのない作品を完成させたのか。
  • ゴジラ対へドラ」(Godzilla vs.Hedorah)1971年
    坂野義光/山内明、木村俊恵、柴本俊夫、麻里圭子、川瀬裕之、吉田義夫
    後年、へドラの縦長の巨大な眼球が女性性器からデザインされていたと知って納得。当時、これを観た小学生の男の子たちは何日も悪夢にうなされ続けていたのです。
  • 吸血鬼ゴケミドロ」(Goke,Body Snatcher from Hell)1968年
    佐藤肇/吉田輝雄、佐藤友美、高橋昌也、高英男、金子信雄、楠侑子、加藤和夫
    これもまた、小学校時代のトラウマ映画です。高英男(シャンソン歌手です)の眉間がパカッと割れるのが怖くて…。合成着色料みたいな夕焼けが気持ち悪くて…。
  • お早よう」(Good Morning)1959年
    小津安二郎/佐田啓二、久我美子、笠智衆、三宅邦子、杉村春子、沢村貞子
    往年の長屋喜劇を、郊外の建売住宅地に置き換えた人情喜劇。今観ると、住宅が被災地の仮設住宅にしか見えません。「復興住宅」はどんな家なのでしょうか。
  • 火垂るの墓」(Grave of the Fireflies)1988年
    高畑勲/(声)辰己務、白石綾乃、志乃原良子、山口朱美、瑞田宏三、酒井雅代
    『となりのトトロ』と同時上映でした。「必ず『火垂る』から観ろ」という友人の忠告を無視したために、泣きながら劇場を跡にする羽目になってしまったのでした。
  • 妖怪大戦争」(The Great Yokai War)2005年
    三池崇史/神木隆之介、宮迫博之、栗山千明、菅原文太、南果歩、近藤正臣
    高橋真唯の川姫が可愛い。阿部サダヲの川太郎が巧い。その他、キャストの顔ぶれがそのまま妖怪。『帝都物語』の加藤保憲も登場。韮沢靖の機怪デザインが秀逸。
  • 地獄」(Hell)1979年
    神代辰巳/原田美枝子、林隆三、田中邦衛、石橋蓮司、岸田今日子、栗田ひろみ
    『地獄』と言えば、普通は、カルト中川信夫かモンド石井輝男の作品を選ぶでしょう。でも、山崎ハコの「きょうだい心中」と田中陽三の個人的趣味爆発の脚本の故に。
  • 肉弾」(The Human Bullet)1968年
    岡本喜八/寺田農、大谷直子、天本英世、笠智衆、北林谷栄、田中邦衛、雷門ケン坊
    魚雷を括り付けたドラム缶で特攻に出撃させられる「あいつ」。特攻前日に古本屋に行きます。ここで店主の笠智衆がしきりに聖書を薦める理由が笑えるのです。
  • 人間の條件/第5部・死の脱出、第6部・曠野の彷徨」(The Human Condition V: A Soldier’s Prayer)1961年
    小林正樹/仲代達矢、新珠三千代、中村珠緒、笠智衆、内藤武敏、岸田今日子
    10時間近くに及ぶ全編一挙上映、『戦争と人間』はカラーですが、これはモノクロ、正直マラソン大会です。最後は「梶よ、もう十分だから死ね!」と叫んでいました。
  • 俺はまだ本気出してないだけ」(I’ll Give It My All,Tomorrow)2013年
    福田雄一/堤真一、橋本愛、石橋蓮司、生瀬勝久、山田孝之、濱田岳、水野美紀
    情けない中年男の話に共感します。IT長者とか「成功者」等には何の関心もありません。ここに出て来るような人たちが(憎まれ役も含めて)大好きなのです。
  • 怪獣大戦争」(Invasion of Astro-Monster)1965年
    本多猪四郎/宝田明、Nick Adams、水野久美、田崎潤、沢井桂子、久保明
    私が映画館で最初に観たゴジラ映画。X星人の遮光サングラスとか、水野久美のボブカットとか、ゴジラのシェーとか、三大怪獣の会議とか、見所満載?です。
  • 旅の重さ」(Journey into Solitude)1972年
    斎藤耕一/高橋洋子、岸田今日子、三国連太郎、高橋悦史、横山リエ、砂塚秀夫
    学校生活を止めて四国遍路の旅に出た16歳の女の子、このヒロイン役を、最後まで高橋と競い合ったのが秋吉久美子でした。後半に自殺する女の子の役で登場します。
  • キングコングの逆襲」(King Kong Escapes)1967年
    本多猪四郎/宝田明、浜美枝、Linda Miller、天本英世、田島義文、堺左千夫
    メカニコングを操って世界征服を目論むドクター・フーに、二重スパイのマダム・ピラニア、殆どマンガの世界です。ゴロザウルスのジャンプ攻撃も楽しい。
  • ノストラダムスの大予言」(The Last Days of Planet Earth)1974年
    舛田利雄/丹波哲郎、由美かおる、黒沢年男、山村聡、司葉子、志村喬、平田昭彦
    丹波の演説、今思えば、殆ど『人間革命』の戸田城聖でした。冨田勲の音楽が怖かった。少なくともゲリラ豪雨と鉄砲水の頻発は、映画の予言通りに成っています。
  • 子連れ狼/親の心子の心」(Lone Wolf and Cub: Baby Cart in Peril)1972
    斎藤武市/若山富三郎、山村聡、林与一、東三千、小池朝雄、遠藤辰雄、岸田森
    背中に般若、乳房に弄(まさぐ)りの金太郎の刺青を入れた、別式女のお雪役、東三千(原田英子)に感動です。妖刀使いの岸田森でなくても卒倒してしまいます。
  • 忍ぶ川」(The Long Darkness)1972年
    熊井啓/栗原小巻、加藤剛、永田靖、滝花久子、可知靖之、井川比佐志、岩崎加根子
    哲郎の故郷、雪深い東北の初夜、馬橇の鈴の音、今思い出しても、何と美しく安らかな展開だったことでしょう。夜に降り積もった雪は、意外に仄明るいのです。
  • ラブホテル」(Love Hotel)1985年
    相米慎二/速水典子、寺田農、志水季里子、益富信孝、中川梨絵、尾美としのり
    山口百恵の「夜へ」が流れる電話の場面のやるせなさ、そして桜の樹の下、二人の女性(村木の妻と名美)が擦れ違う場面の素晴らしさに、思わず泣いてしまいます。
  • 西陣心中」(Lovers’ Suicide)1977年
    高林陽一/島村佳江、光田昌弘、土屋嘉男、楠侑子、成田三樹夫、上月左知子
    市松人形のような島村に惚れました。西陣の織り屋に転がり込んだ心中未遂の女と若職人との道行。強迫神経症のように、二人は京都の小路を逃げ回るのでした。
  • 怪竜大決戦」(The Magic Serpent)1966年
    山内鉄也/松方弘樹、小川知子、大友柳太朗、天津敏、金子信雄、原泉、原健策
    要するに「自来也(大蝦蟇)と大蛇丸と綱手(大蜘蛛)の三竦み」です。私にとっては『仮面の忍者赤影』の甲賀幻妖斎こと、天津敏の悪家老ぶりが楽しかったです。
  • 悪徳の栄え」(Marqui de Sade’s Prosperities of Vice)1988年
    実相寺昭雄/清水紘治、李星蘭、牧野公昭、石橋蓮司、寺田農、米沢美和子
    侯爵家の晩餐に集まった連中が各自の悪徳披露をする冒頭の場面、これが腸捩れる程に楽しい。鶉料理です。最後も究極のジビエ(再び鳥料理)で幕となります。
  • マタンゴ」(Matango: Attack of the Mushroom People)1963年
    本多猪四郎/久保明、水野久美、土屋嘉男、小泉博、太刀川寛、八代美紀、佐原健二
    孤島に漂流した7人を襲う飢餓とキノコの幻覚、そして、キノコ人間の襲撃。ホジスンの短編を、日本SF界の巨頭2人、星新一と福島正実が展開させた物語です。
  • 人魚伝説」(Mermaid Legend)1984年
    池田敏春/白都真理、清水健太郎、青木義朗、宮下順子、江藤潤、清水宏
    原発の利権がらみで漁師の夫を殺された海女が、ヤス(銛だったか?)を片手に着工記念のレセプション会場に押し入って、血みどろの大量殺戮を繰り広げます。
  • 泥の河」(Muddy River)1981年
    小栗康平/田村高廣、藤田弓子、加賀まりこ、朝原靖貴、桜井稔、芦屋雁之助
    時代設定は「昭和31年」です。これを観ると『ALWAYS/三丁目の夕日』のノスタルジーは虚偽と分かります。軍歌「戦友」が14番まであることも分かります。
  • 銀河鉄道の夜」(Night on the Galactic Railroad)1985年
    杉井ギサブロー/(声)田中真弓、坂本千夏、堀絢子、一城みゆ希、常田富士男
    別役実の脚本の見事さ、細野晴臣の音楽の忘れ難さ(彼の祖父はタイタニック号の乗客だったのです)、お盆に田舎の実家に帰省して、灯明つけて観るべき映画です。
  • 十九歳の地図」(The Nineteen Year-Old’s Map)1979年
    柳町光男/本間優二、蟹江敬三、沖山秀子、山谷初男、原知佐子、清川虹子、西塚肇
    中学生の時に、中上健次の小説に出会って、その才能に嫉妬を覚えました。映像化された本作を観て、今度は柳町の才能に嫉妬しました。青春には鬱屈が必要なのです。
  • 鬼婆」(Onibaba)1964年
    新藤兼人/乙羽信子、吉村実子、佐藤慶、殿山泰司、宇野重吉
    ロケ地は印旛沼だそうです。息子の仲間と懇ろになった嫁を脅すために、姑が被った般若面が取れなくなってしまう土俗的な物語。吉村の野生的な魅力が素晴らしい。
  • 田園に死す」(Pastoral: To Die in the Country)1974年
    寺山修司/菅貫太郎、高野浩幸、八千草薫、斎藤正治、春川ますみ、新高恵子、原泉
    オドロオドロしく誇張された霊場、恐山の巫女、烏のような老婆たち、川上から流れて来る雛壇、巨大な数珠、兵隊バカに空気女…。寺山の「おもちゃ箱No.2」です。
  • 機動警察パトレイバー2/The Movie」(Patlabor 2 The Movie)1993年
    押井守/(声)冨永みーな、古川登志夫、大林隆之介、榊原良子、池水通洋
    導入は『シベールの日曜日』へのオマージュ。テロリスト柘植による首都制圧のやり方は、カルロス・マリゲーラの『都市ゲリラ教程』の踏襲ではないですか。
  • おとし穴」(Pitfall)1962年
    勅使河原宏/井川比佐志、宮原カズオ、田中邦衛、佐藤慶、矢野宣、佐々木すみ江
    炭鉱の第一組合と第二組合との抗争は殺し合いに発展します。殺された登場人物が幽霊のように存在を続けるのは、ジョン・レノンの『わたしの戦争』よりも5年早い。
  • 紅の豚」(Porco Rosso)1992年
    宮崎駿/(声)森山周一郎、加藤登紀子、桂三枝、上条恒彦、岡村明美、大塚明夫
    戦死した戦闘機乗りたちが敵も味方も空の彼方に消えて行く幻覚は、ロアルド・ダールの『飛行士たちの話』です。命を賭した者だけが行き着く天国があるはずです。
  • エロ事師たち≠謔閨^人類学入門」(The Pornographers)1966年
    今村昌平/小沢昭一、坂本スミ子、近藤正臣、佐川啓子、田中春男、中野伸逸
    巻頭、数台のカメラをテープで縛って同時撮影(しかも、野外撮影!)をする場面に感動しました。私も8ミリをやっていたので撮影の難しさ、少しは分かります。
  • 神々の深き欲望」(Profound Desires of the Gods)1968年
    今村昌平/三国連太郎、沖山秀子、河原崎長一郎、加藤嘉、松井康子、北村和夫
    サトウキビ畑が出て来るので、恐らく舞台設定は奄美諸島でしょう。「悲しき亜熱帯」みたいな作品です。幽霊になって登場する嵐寛寿郎と沖山の肉体に圧倒されます。
  • 人妻集団暴行致死事件」(Rape and Death of a Housewife)1978年
    田中登/室田日出男、黒沢のり子、志方亜紀子、江口枝美子、日夏たより、岡本麗
    「ピラニア軍団」室田日出男の一世一代の名演技。若者たちに襲われた結果、心臓発作でショック死してしまった、愛妻の体を泣きながら風呂で清めるのです。
  • 約束」(The Rendezvous)1972年
    斎藤耕一/萩原健一、岸恵子、南美江、三國連太郎、中山仁
    日本海に面した鉄道を走る列車の中で出会った二人。けれども、女は仮出所中の身で朝8時までに刑務所に戻らなくてはならない。心は限られた時間だから燃え上がる。
  • 濡れた荒野を走れ」(Retreat Through the Wet Wasteland)1973年
    澤田幸弘/地井武男、山科ゆり、井上博一、川村真樹、高橋明、久松洪介
    今思えば、長谷川和彦が脚本を書いていたのです。警察を犯罪組織として徹底して描いたアクション映画。でも、東映ではなく日活という味わいが溢れています。
  • 風林火山」(Samurai Banners)1969年
    稲垣浩/三船敏郎、中村錦之助、佐久間良子、大空真弓、石原裕次郎、中村賀津雄
    ダースベーダーのヘルメットは、この山本勘助の兜から来ています。主君から離れた戦場で討ち死にする三船は、西洋人からランスロットに例えられていました。
  • サンダカン八番娼館/望郷」(Sandakan 8)1974年
    熊井啓/栗原小巻、高橋洋子、田中絹代、水の江滝子、水原英子、藤堂陽子、田中建
    天草から「からゆきさん」としてボルネオに売られた女性。客を取らされて、スコールで身を清める場面、日本海軍の入港で、1日何十人も相手をさせられる話が凄い。
  • 山椒大夫」(Sansho the Bailiff)1954年
    溝口健二/田中絹代、花柳喜章、香川京子、進藤英太郎、菅井一郎、浪花千栄子
    弟の厨子王だけでも逃げ延びることが出来るようにと、安寿が入水自殺をする場面があります。香川京子が池に入って行く後ろ姿を捉えた場面の静謐な美しさ。
  • 五瓣の椿」(The Scarlet Camellia)1964年
    野村芳太郎/岩下志麻、田村高廣、伊藤雄之助、小沢昭一、西村晃、左幸子、加藤剛
    椿の落花は打ち首を思わせるとかで、武家屋敷では敬遠されています。亡き父の無念を晴らすため、母の不義の相手を殺害しては、椿を残して去って行く娘、萌えです。
  • ㊙色情めす市場」(Secret Chronicle: She Beast Market)1974年
    田中登/芹明香、花柳幻舟、夢村四郎、高橋明、宮下順子、萩原朔美、江沢萠子
    ダッチワイフにLPガスを入れて自爆するカップル、通天閣から飛び降りて自死する弟、客を取り合う娼婦の母娘…。ひたすらに芹明香の存在感に圧倒されます。
  • 七人の侍」(Seven Samurai)1954年
    黒澤明/三船敏郎、志村喬、津島恵子、加東大介、木村功、千秋実、宮口精二
    外したくても外せませんでした。小学生の頃、テレビからカセットテープに録音、台詞を丸暗記して、クラスの友だちと物真似(主に志村喬の)をしていました。
  • セックス・チェック/第二の性」(The Sex Check)1968年
    増村保造/安田道代、緒形拳、小川真由美、滝田裕介
    陸上のコーチが有望な女子選手を発掘、特訓を重ねて名スプリンターと成りますが、性別検査に引っ掛かり、今度は女性性を取り戻す特訓に励みます。その悲哀。
  • 眠狂四郎/人肌蜘蛛」(Sleepy Eyes of Death: In the Spider’s Lair)1968年
    安田公義/市川雷蔵、緑魔子、三條魔子、川津祐介、渡辺文雄、寺田農、岸輝子
    甲府に将軍家斉の妾腹の兄妹が暴虐の限りを尽くす鬼館あり。殺し合いや処刑を見物するための闘技場があったりして、殆ど『カリギュラ』の世界です。
  • 堕靡泥の星/美少女狩り」(Star of David: Hunting for Beautiful Girls)1979年
    鈴木則文/土門峻、波乃ひろみ、山本昌平、八城夏子、小川亜佐美、岡本麗
    鈴木作品では、多岐川裕美の『聖獣学園』も好きなのですが、何となくB面扱いされているような気がする本作を、私は推薦します(単に波乃が好みだけなのかも)。
  • 近松物語」(A Story from Chikamatsu)1954年
    溝口健二/長谷川一夫、香川京子、南田洋子、進藤英太郎、小沢栄、菅井一郎
    茂兵衛とおさんが後ろ手に縛られ、馬に乗せられ、市中引き回しの場面、ベルトルッチの『1900年』に全く同じ場面が用意されています(かなり内容は違うけど)。
  • 飢餓海峡」(Straits of Hunger)1964年
    内田吐夢/三国連太郎、伴淳三郎、左幸子、高倉健、三井弘次、加藤嘉、沢村貞子
    地蔵和讃を練り込んだ冨田勲の音楽の不気味なこと、『ノストラダムスの大予言』の10年前です。感情を持たない爬虫類のような三国の演技が他を圧倒しています。
  • 幕末太陽傳」(Sun in the Last Days of the Shogunate)1957年
    川島雄三/フランキー堺、石原裕次郎、南田洋子、左幸子、芦川いづみ、小林旭
    品川遊郭で御大尽をした挙句に一文無し、廓の下働き「居残り佐平次」の飄々ぶりを当時の「太陽族」に重ねています。太鼓持ちという仕事にも感心させられます。
  • スウィングガールズ」(Swing Girls)2004年
    矢口史靖/上野樹里、平岡祐太、貫地谷しほり、豊島由佳梨、本仮屋ユイカ
    青春も映画も「スウィングしなけりゃ意味ないね」。ジャズ好きの教師を演じる竹中直人が素晴らしい。ジャズと女子高生というミスマッチが「雪見大福」の美味しさ。
  • 人斬り」(Tenchu!)1969年
    五社英雄/勝新太郎、仲代達矢、石原裕次郎、三島由紀夫、倍賞美津子、新條多久美
    暗殺マシンとしての自分に在り方に疑問を抱き始めた「人斬り以蔵」の勝が、悶々としながら京都の風景の中を歩く姿が切ない。三島の田中新兵衛切腹にも驚きました。
  • サード」(Third)1978年
    東陽一/永島敏行、吉田次昭、森下愛子、志方亜紀子、島倉千代子、内藤武敏
    これも同じ年に数回、映画館で観ることになりました。傷害事件で関東少年院に送られた野球部の「サード」と数学の得意な「UB」による「青春の悶々」です。
  • 十三人の刺客」(13 Assassins)1963年
    工藤栄一/片岡千恵蔵、嵐寛寿郎、西村晃、内田良平、里見浩太朗、山城新伍
    黒澤と『座頭市』『眠狂四郎』くらいが時代劇だろと、高を括っていた私が、初めて東映時代劇に悶絶したのでした。ラストの十数分も打ち続く大殺陣、参りました。
  • 無常」(This Transient Life)1970年
    実相寺昭雄/田村亮、司美智子、岡田英次、花ノ本寿、田中美津子、佐々木功
    脚本は石堂淑朗、音楽は冬木透で『ウルトラセブン』、花ノ本は『怪奇大作戦』の「呪いの壷」でしょう。ベルイマン映画を仏教化したみたいな奇妙な味わいです。
  • 蜘蛛巣城」(Throne of Blood)1957年
    黒澤明/三船敏郎、山田五十鈴、志村喬、久保明、千秋実、木村功、小池朝雄
    ♪「見よ妄執の城の址」。今でも歌えます。『マクベス』なのですが、「森が動く」場面の実写化、鷲津武時に放たれる無数の矢(最期はフランケン)に驚かされました。
  • 書を捨てよ町へ出よう」(Throw Away Your Books,Rally in the Streets)1971年
    寺山修司/佐々木英明、平泉征、斎藤正治、丸山明宏、新高恵子、浅川マキ、蘭妖子
    寺山の映画はアフォリズムなのです。確かに、詩や名言の引用も散りばめられています。でも、映画そのものがアフォリズムとして成り立っているのです。
  • 東京上空いらっしゃいませ」(Tokyo Heaven)1990年
    相米慎二/牧瀬里穂、中井貴一、笑福亭鶴瓶、毬谷友子、出門英、三浦友和
    事故死したアイドルが死神を騙して、地上に戻って限られた命を精一杯生きようとします。福岡女学院の美術教師の友人は「牧瀬は教え子だよ」と自慢していました。
  • 東京オリンピック」(Tokyo Olympiad)1965年
    市川崑/(語り)三國一朗、Bob Hayes,Al Oerter Jr.,Abebe Bikila,Tamara Press
    聖火リレーに流れる黛敏郎の音楽の素晴らしい。競技の経過や結果ではなく、望遠レンズで切り取られた肉体の躍動。砲丸投げの落花する鉄球を捉えたショットが凄い。
  • 男はつらいよ/望郷篇」(Tora-san’s Runaway)1970年
    山田洋次/渥美清、倍賞千恵子、前田吟、三ア千恵子、森川信、長山藍子、笠智衆
    テレビ版最終回は、寅が奄美大島でハブに噛まれて死んだとの消息を源公から訊いたさくらが号泣する幕切れ。さくらと博を演じた長山と井川比佐志がゲスト出演です。
  • 二十四の瞳」(Twenty-Four Eyes)1954年
    木下惠介/高峰秀子、月丘夢路、小林トシ子、井川邦子、田村高廣、笠智衆
    題名だけ見て、フランス人は怪獣映画だと思ったそうです。母親が死んで奉公に出される松江を思って大石先生が泣く場面で、讃美歌「いつくしみ深き」が流れます。
  • フランケンシュタインの怪獣/サンダ対ガイラ」(The War of the Gargantuas)1966年
    本多猪四郎/佐原健二、水野久美、Russ Tamblyn、田崎潤、田島義文、中村伸郎
    今も尚、ガイラのシャーッ!という雄叫びが耳に残っています。羽田空港で女性を掴んで頭からボリボリ食べるガイラ、初お目見えの「メーサー殺獣光線車」です。
  • 八月の濡れた砂」(Wet Sand in August)1971年
    藤田敏八/広瀬昌助、村野武範、中沢直人、藤田みどり、テレサ野田、渡辺文雄
    私にとって、夏の湘南海岸と言えば、これです。村野演じる不良が私と同名で「健一郎」。字は違いますが、映画を観ている間、自分のことを言われているようでした。
  • 砂の女」(Woman in the Dunes)1964年
    勅使河原宏/岡田英次、岸田今日子、三井弘次、矢野宣、観世栄夫、関口銀三
    日本の砂丘は、ほんの少し湿っているのです。そんな黒っぽい砂が白っぽい素肌に付いてエロチックなのです。今は亡きオーティス・ケーリ先生のお宅で観た映画です。
  • 仁義なき戦い」(The Yakuza Papers)1973年
    深作欣二/菅原文太、松方弘樹、金子信雄、梅宮辰夫、田中邦衛、川地民夫、名和宏
    「組長はお神輿」という台詞が出て来て、ヤクザの組がミニ天皇制だと分かります。しかも、金子信雄の山守組長は平気で子分を使い捨てにして行くのでした。
  • 用心棒」(Yojimbo)1961年
    黒澤明/三船敏郎、仲代達矢、山田五十鈴、東野英治郎、加東大介、志村喬
    映画館を出た後、誰もが「桑畑三十郎」気取りで歩いてしまうはずです。大きな酒樽を打ち壊す場面は、ペキンパーの『ワイルドバンチ』にオマージュがあります。
  • 青春の殺人者」(The Youth Killer)1976年
    長谷川和彦/水谷豊、原田美枝子、内田良平、市原悦子、白川和子、江藤潤
    開港直前の成田空港の近くが舞台です。水谷が両親を殺して、死体を海に遺棄する青年を演じています。母親の市原を殺すまでの取っ組み合いは、凄く衝撃的でした。
  • ツィゴイネルワイゼン」(Zigeunerweisen)1980年
    鈴木清順/原田芳雄、大楠道代、藤田敏八、麿赤児、大谷直子、玉川伊佐男
    多分、清順と言うよりは、脚本家の田中陽三作品が好きなのだと思います。「生きている人間は本当は死んでいて、死んでいる人が生きているのよ」の台詞通りの作品。

ブックレビューは「牧師の書斎から」の旭日亭菜単(旧題:一点一画) をご覧ください

posted by 行人坂教会 at 12:10 | 牧師ご挨拶