2008年03月09日

牧師の書斎から

この世を生き抜くためのサバイバル・キット

この国では、年間、3万人以上の人たちが自らの命を断っています。立ち止まって、周囲を見回してみても、子ども、若い人たち、 若い母親たち、父親たち、中高年の人たち、老人たち…。 誰を見ても、平和を謳歌し、幸せを享受しているとは、到底、思われません。 不幸の影は深く社会を覆っているが、その元凶が何なのか、どうすれば、その影を取り除くことが出来るのか、誰にも確かなことは言えません。

ただひとつ言えることは、それでも、私たちは、この酷い世の中を渡って行かなくてはならないということです。「この世で生き抜くためのサバイバル・キットとして役立つ、フィクションが必要だ」と、「ブラッカムの爆撃機」 (岩波書店)巻末の解説「ロバート・ウェストールの生涯」に、ピーター・ホリンデイルという人の言葉が紹介されていました。

もしかしたら、私たちが手にしている聖書も、胸に抱いている信仰も、脳裏に明滅するファンタジーも、 他者との間に切り結ぶ愛や信頼や友情も、そもそも「この世を生き抜くためのサバイバル・キット」では無かったでしょうか。 この酷い世界と戦い続ける「勇気」を与えてくれるものでは無かったでしょうか。 その意味で、私たちは、沢山の「物語」を若い人たちに伝えなくてはならないと思います。

posted by 行人坂教会 at 12:13 | 牧師の書斎から